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「セブン&アイ」創業家の巨額買収を実現する"秘策" 常識的には難しい巨額MBOの突破口を考える

東洋経済オンライン / 2024年11月17日 10時0分

そうなると消去法でいけば白馬の騎士になりうるのは事業会社だけです。今回具体的に注目されたのが、創業家が伊藤忠商事に声をかけているという話です。他にも三井物産が参加するのではないかという観測もあります。この記事では伊藤忠のMBO参画の可能性を軸に、その実現性を検討したいと思います。

伊藤忠はもともとイトーヨーカドーがアメリカのセブン-イレブンと最初の契約を結ぶ場面の仲介役となった総合商社です。商社の中では食品に強いという特色もあります。一方でファミリーマートを子会社にしています。

伊藤忠が仮にセブン&アイの大株主になると独禁法上の問題が生じるという意見がありますが、私はこれはそれほど問題にはならないと考えます。理由は小売業界全体にはスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどコンビニと競争する業態がたくさんあって、たとえコンビニ業界の1位と2位が一緒になるような事態が起きたとしても独占状態にはならないからです。

別の言い方をすれば、日本を代表する企業をカナダからの買収から防衛するという大義のほうが優先されるはずだという読みがあります。

ではこのように創業家が伊藤忠商事と組み、メガバンクからの融資も受けたうえでMBOを行うとした場合、何が問題になるのでしょうか?

このスキームで一番脅威を感じるはずなのは井阪社長以下のセブン&アイの経営陣です。そもそもACTとの企業防衛に関わる戦いは、現在の経営方針を貫くための戦いです。カナダからの経営介入を退ける代償として、新たに筆頭株主になるであろう伊藤忠からの介入を受けることになります。最悪、ファミマとの対等合併を強いられるとともに、現経営陣は経営から外されるリスクも考えられます。

高いハードルを越える秘策はあるのか

逆に伊藤忠から見れば、経営陣との対立にエネルギーがかかるのであれば、セブンを持つ意味はないでしょう。ここ1~2年、コンビニ業界ではファミマとローソンが躍進する一方で、セブンは苦戦しています。4.6兆円の企業価値で停滞していたセブンに手を貸すよりも、競争で叩き潰したほうがよほど効率はよいという判断になるはずです。

要するにこのMBO案、難しいハードルが2つあって、ひとつはもともと4.6兆円程度にとどまっていたセブン&アイの買収価値を7兆円超に引き上げるロジックが見いだせるかどうか、そして現経営陣を味方に引き入れる提案ができるかどうかの2つのハードルを乗り越えないと仕組みとして成立できないのです。

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