なぜか「テレビの常連」な専門家が意識している事 「常連」と「一度きり」にはこんなにも差がある
東洋経済オンライン / 2024年11月18日 8時30分
ニュース番組であれば、放送直前まで編集作業をしています。「放送1秒前」という直前に、映像が完成することも日常茶飯事です。放送前に制作者同士で「本当に間に合うのだろうな」と怒声が飛び交うことも珍しくありません。
「放送前に見せてほしい」と言われても、業務上対応できないのです。
事前確認が不可能な、もうひとつの理由は「報道としてのルール」です。ニュース番組では放送前に取材相手に映像を見せることは、固く禁じられて います。これは経営者や政治家といった取材対象者からの放送内容への介入を防ぐためです。
取材を受けた側としては「忙しいなか取材に協力したのだから、事前に確認する権利がある」と思うのは当然です。
しかし要求を受けた番組制作者としても、絶対に受け入れることができないのです。それゆえ、あまりに強硬に要求された際には「要注意人物」として申し送りされることになります。
放送後のクレームは「やるだけ無駄」
もうひとつは、放送後に「あの発言箇所を使うとは思わなかった」と番組にクレームを入れてくる専門家です。苦情を述べたところで「後の祭り」です。放送後にクレームを言われても、捏造した情報を放送したわけでもないので、番組として訂正するわけにもいきません。
「不正確なことを言ってしまった」「誤解を招く発言だったかもしれない」と思ったら、その場で、もしくは取材終了直後に番組制作者に申し入れをするしかありません。
番組制作者は専門家に迷惑をかけようという気は微塵もありませんので、受け入れられないということはまずありません。
放送前の確認要請、放送後のクレーム。いずれも番組側に弁解の余地がないほどの問題がない限り、受け入れられることはありません。つまり「やるだけ無駄」なのです。
そして、二度と取材依頼が来ない専門家で最も多い共通点が「発言が煮え切らない」「一般の視聴者にはわかりにくいことしか言わない」というものです。
要は、その専門家の発言が番組制作者の期待するものと合致しなかったというケースです。わかりやすく伝える能力は、特に解説者型では必須です。
下矢 一良:PR戦略コンサルタント
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