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人間関係を支配する「3倍の法則」のすごさとは 脳のサイズが規定する集団の規模とその機能

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 12時0分

本書には、イギリス軍特殊部隊の例が出てきますが、やはり4~5人と、限りなく5人に近い単位で戦闘に臨みます。ミュージシャンのバンドもそうです。3人編成もありますが、やはりクリエイティブな仕事をする上では、5人くらいが重要だということです。

これに3を掛けると「15」です。ダンバー氏は、日常的な付き合いの60%までを占めているのは、15人という人数だと断言しています。

多様な人が集まって、さまざまな意見を述べることができ、熟議にふさわしい数です。ただし、対立や分裂が起きるので、まとめ役やリーダーが必要です。

さらに3を掛けると「45」。約50人です。きちんとした構造とリーダーシップが必要となる集団で、民主主義が成り立つ場所でもあります。

そして、150人という規模へ飛躍するときには、何らかのルールが必要になります。つまり、150人が民主主義の限界だということです。

民主主義は、信頼と信用が糧になります。約束を守ってくれるからこそ信頼できる。そういった関係性の中であれば、組織としてのクリエイティビティ、生産性、効率性を高めていくことができるのです。

サルや類人猿の脳から分析された「ダンバー数」が、現代の人間の組織論にぴったり合うというのは驚きですよね。

(つづく)

(構成:泉美木蘭)

山極 壽一:総合地球環境学研究所所長、霊長類学者

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