｢6浪で医学部合格｣秀才だった彼女の選択の過ち【再配信】 受験科目の選択ミスが人生を大きく左右した

「今、通っている大学は1浪目の最初から6浪目の最後までずっとE判定だった大学なんです。その大学に入れたのはとても嬉しかったです。（6浪目のときは）この年こそはどこかの医学部には受かるだろうという感触がありました。最後の1年は目に見えて成績が上がっているわけではなかったのですが、合格に向かって進めている感覚があったからです」

こうして夢への切符をつかみ取ったR.さん。「6浪しましたが、医学部に入れてよかったと思います。浪人したことに後悔はありません」と語る彼女に、浪人を経験して良かったことを尋ねてみると、次の言葉が返ってきました。

「若い間に自分だけに向き合えたことで、自身を深く知り、可能性を探れたことです。その過程を経て、今、自分の歩みたい人生を送れているので自己肯定感を持てるようになりました」

周囲の人にも恵まれ、充実した毎日を送っているそうですが、どうしてもつきまとう「6浪の女性」という声については、どのように考えて受験生活を送ってこられたのでしょうか。

「私の周囲に再受験で合格した女性がいたからまだ自分は大丈夫だと思っていました。女性でありながら浪人を続けることもできたのも、理解のある親や友人のおかげです。正直、年齢は今でも気にしていますが、折り合いをつけるのが大事だと思います。年齢は”歩んできた軌跡”だと思うようにしています」

そう前向きに思えるようになったのも、浪人生活で得たメンタルコントロール力、「メンタルを強くするのではなく、（苦しみから）這い上がることを早くする意識」の賜物であるそうです。

「落ち込んでからの立ち直りが早くなりました。人間である以上、感情の上下は避けられません。ですが、うまく向き合うことで早く立ち直ることができます。私は模試や勉強方法の失敗事例など落ち込む状況を作った原因を徹底的に紙に書き出して問題点を洗い出した後、その改善策も書いてやるべきことを明確にして、余計なことを考えなくて済むように仕向けました。その経験が、今の生活にもつながっています」

今までの苦労がすべて報われる

6年にもわたって模試の判定や不合格の通知で落ち込み続けたR.さんだからこそ、確かな説得力が言葉に宿っていました。

過酷な受験勉強の期間は、多くの人が自信を失い、卑屈になってしまいます。それでも、目標を成し遂げたらすべてが報われることをR.さんは教えてくれます。最近はSNSでの発信活動もされているようで、学業の傍らで、受験生のお悩み相談にも真摯に答えているとのことです。

「人生に無駄なことは何もないので、誇りを持って生きましょう」

不遇の期間を受け入れて前向きに生きるR.さんは、最後に力強く前向きな言葉を残してくれました。

濱井 正吾：教育系ライター