独VWの中国戦略「シェアより利益」に転換の事情 中国勢との消耗戦避け、中長期で巻き返し図る
東洋経済オンライン / 2024年11月19日 16時30分
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループが、販売台数の減少が続く中国事業の戦略転換を打ち出した。
【写真】中国事業を時間をかけて立て直す方針を示したVW中国法人のブランドステッターCEO
「中国市場では利益の確保を最優先する。利益を犠牲にしてシェアを取りにいくことはしない」。VW中国法人のラルフ・ブランドステッターCEO(最高経営責任者)は11月1日、そのような新方針を明らかにした。
VWグループの中国市場での販売台数は、2024年1月から9月までの累計で205万7000台にとどまり、前年同期比10.2%減少した。そのうち直近の7~9月期の減少率は同15%と、販売不振が深まっている。
「EVで利益確保は困難」
ブランドステッターCEOによれば、中国市場ではEV(電気自動車)の熾烈な値引き競争が繰り広げられており、EV事業で利益を確保するのは非常に難しい。
とはいえ、VWを含む外資系自動車メーカーの“ドル箱”だったエンジン車は、需要が急速に縮小している。自動車販売の業界団体である全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)のデータによれば、中国の乗用車市場における2024年1月から9月までのエンジン車の販売台数は844万台と、前年同期比16%減少した。
それとは対照的に、EVとPHV(プラグインハイブリッド車)を中心とする「新エネルギー車」の需要は急拡大が続く。乗聯会のデータによれば、1~9月の新エネルギー車の販売台数は前年同期比37.4%増の713万2000台に達した。
EVシフトへの対応が遅れた外資系メーカーは、エンジン車の大幅な販売減に直面すると同時に、新エネルギー車では中国メーカーの価格性能比の高さに太刀打ちできず、市場シェアを落とし続けている。
乗聯会のデータによれば、2024年9月には中国市場の乗用車販売台数に占める中国ブランドの比率が63.5%に達し、前年同月より10.1ポイント上昇した。
それに対し、(VW、メルセデス・ベンツ、BMWなどの)ドイツ系ブランドの比率は16.5%と同3.6ポイント低下。その他の外資系メーカーも、(トヨタ、ホンダ、日産などの)日系ブランドは12.6%と同4ポイント低下、(GM、フォードなどの)アメリカ系は5.7%と同1.7ポイント低下した。
VWグループのグローバル事業は中国市場への依存度が高く、業績悪化を放置するわけにはいかない。そこで、短期的には中国メーカーとの消耗戦を避けて収益性を改善し、中長期的な新型車の大量投入で巻き返しを図ろうとしている。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
米GM、不振の中国事業で「7500億円超」損失計上へ 早期立て直しへ工場閉鎖やブランド統合検討
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 19時0分
-
中国自動車市場で「売れ筋価格帯」が下がる裏側 政府の「買い換え補助金」が消費者心理に影響
東洋経済オンライン / 2024年12月18日 18時0分
-
中国自動車市場で「外資系のシェア低下」止まらず 1000万台分の生産能力削減が必要との見方も
東洋経済オンライン / 2024年12月10日 18時0分
-
やっぱり豊田章男会長の「全方位戦略」が正しかった…自動車大国中国で「売れないEV」が山積みになっているワケ
プレジデントオンライン / 2024年12月9日 7時15分
-
アングル:中国メーカーが欧州向けハイブリッド車輸出拡大、EV関税回避狙う
ロイター / 2024年12月7日 15時57分
ランキング
-
1「覆面パトカーだ!」 道行く「“隠れ”パトカー」すぐわかる「見分ける方法」は? ひっそり走る「地味ぃな“国産セダン”」がポイント?
くるまのニュース / 2024年12月26日 11時10分
-
2トースターでお餅を焼くと中がかたいまま…上手に焼くコツをタイガーが伝授!「予熱」より「余熱」がおすすめ
まいどなニュース / 2024年12月25日 17時45分
-
3【MEGA地震予測・2025最新版】「能登半島地震以上の大きな地震が起きる可能性」を指摘 北海道・青森、九州・四国、首都圏も要警戒ゾーン
NEWSポストセブン / 2024年12月26日 11時15分
-
4「別にいいじゃない」ホテルのアメニティを大量に持ち帰る彼女にドン引き。ファミレスでも“常識外れの行動”に
日刊SPA! / 2024年12月26日 8時52分
-
5「DV夫から逃げた妻」がその後20年近く苦しんだ訳 命がけで逃げた母と息子の「現在」
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 12時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください