「絶望はない」ミャンマー人難民に35年間医療従事 カレン族の医師シンシア・マウンさんに聞く
東洋経済オンライン / 2024年11月19日 11時0分
筆者は2012年、患者やその家族らであふれかえる野戦病院のような当時のクリニックを訪ね、彼女にインタビューした。亡命したときは「半年で帰るつもりだった」と言いながら「国境の人権状況が改善するまでこの地にとどまる」と決意を語っていた。
それからさらに12年。出国以来すでに35年が経過した。民主化が前進した10年足らずを経て、軍事政権の復活で人々の生活や安全、人権をめぐる状況は暗転し、悪化の一途をたどっている。
それでもマウンさんは「人々の考え方(Mindset)が変わるのには時間がかかります。何世代かを要するかもしれません」とゆったり構えている。
「絶望しませんか」。そう尋ねると、即座にNOと答えが返ってきた。
「(クーデターのように)同じことが繰り返されても、若い人たちが次々と教師や医療従事者としてボランティア活動に参加してくれます。確信をもって団結し、コミットする若者たちがこれからも現れ、地域のリーダーになってくれるでしょう。彼らこそが希望なのです」
若い人に将来を託すためにも「教育、権威主義に抑圧されていない教育が大切です」。厳しい状況にあっても激することのない彼女は、そう付け加えた。
柴田 直治:ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表
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