NTT、人手不足のバス路線をテクノロジーで救う 名古屋で実証開始、来年には首都圏でもテスト
東洋経済オンライン / 2024年11月20日 10時0分
実証はすでに公道でも進んでいる。愛知県名古屋市では、全国初となる都市部幹線道路での自動運転車両による定期運行を実施中だ。名古屋駅付近から「STATION Ai」(名古屋市昭和区)までの区間を、若宮大通を中心とした公道で走行。May Mobilityの自動運転システムを搭載した車両をセーフドライバーが搭乗するレベル2で運行している。現在の技術水準では、センサー性能の制約から時速48km程度が上限となっているが、来年度には60km超への引き上げを計画。一般道での実用化を視野に、着実に進化を遂げている。
調布の実証拠点でも構内でのレベル2での走行を行っており、2024年度内には公道走行を予定している。
レベル4での実証実験については、NTTは2025~26年度の認可申請を予定しているが、実現時期は社会受容性の確立や技術の日本向け適応などを見極めながら慎重に判断する方針だ。May Mobilityはアメリカですでにレベル4運行を実施しているものの、日本の道路環境や規制への対応には時間を要する見通しだ。
遠隔監視のコスト効率がカギ
「1人のオペレーターで何台監視できるかが重要になる」。清水氏は、事業採算性確立の要諦をこう説明する。自動運転システムを導入しても、1台に1人の監視者が必要では人件費の削減につながらない。複数台の同時監視を実現できて初めて、運用コストの圧縮が可能になる。
遠隔監視システムは2つの画面で構成される。1つは複数の車両の位置をリアルタイムで表示する運行管理画面。もう1つは監視カメラの映像だ。基本的には運行管理画面を注視し、異常が検知された場合にカメラ映像で状況を確認する仕組みとなっている。
「遠隔操作ではなく、遠隔監視に徹している点が特徴です」と市原氏は説明する。例えば路上駐車車両を避けるケースでは、車両が自律的に判断できない場合、遠隔監視者が周囲の安全を確認して進行の判断を行う。ただし、ハンドル操作などは行わず、あくまで車両の自律的な判断をサポートする形だ。
May Mobilityのアメリカでの実証実験では、1人のオペレーターが4~5台の車両を同時に監視している。日本の場合、道路が狭く、通行する車両や歩行者も多いため、監視可能な台数や必要な映像品質について、日本の交通環境に即した形で見極めていくという。
こうした遠隔監視の実現において、NTTが競争力の源泉として位置づけるのが、ローカル5Gの戦略的活用だ。
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