斎藤さん再選に「熱狂する人」が知らない"真実" 今回の県知事選は「SNSによる完全勝利」とは言えない
東洋経済オンライン / 2024年11月20日 7時30分
兵庫県知事選挙で、斎藤元彦前知事が再選を果たして、話題になっている。斎藤氏は、全議員から不信任を突きつけられて失職。再出馬するも、メディア報道は厳しく、再選は困難だとされていた。
【画像】彼のおかげ斎藤氏再選につながった? 「投票数を爆上げさせたYouTuber」
大勢が確定した直後、SNSは大きく盛り上がり、Xでは「当選確実」「兵庫県民」といったワードがトレンド入りし、再選はおおむねポジティブに捉えられた。
この結果について、マスメディアの偏向報道が批判され、SNSが投票結果を大きく左右したことが指摘されている。また、若者の票が後押ししたという声も出ている。トランプ大統領再選と比較され、政治の変化を期待、あるいは不安を表明する声も出ている。
こうした指摘は間違っているとは思わないが、少し過剰な語られ方をしすぎている点もあるように思う。
メディアやSNSの変化という視点から、今回の選挙結果を読み解いてみたい。
「若者の力」で当選したとまでは言えない
筆者は、政治および選挙の専門家ではないが、SNSの口コミを分析し、世の中の論調を探る仕事をしてきた。
2008年のアメリカ大統領選でのオバマ氏の勝利の背景には、政治意識の高いミレニアル層を取り込むためにSNSを最大限に活用したことが大きく影響したと言われている。
その直後、日本でも同様の潮流が起きるのかについて研究をしてきたし、SNSの声で選挙結果を予測することはできるのか? あるいは世論を把握できるのか? ということも検証してきた。
結果としては、有用な成果を得ることはできなかった。理由としては下記の通りだ。
1: 日本は高齢化社会であり、若年の有権者は少ない
2: SNSを積極的に活用している若年層の投票率は低い
3: SNSの論調は極論が多い(特に保守派の主張が目立つ)
4: 政治家もSNSを信用しておらず、積極的に活用する意欲も薄い
10年以上前のことなので、現状は大きく変化しているところもある。しかしながら、根本的に変わったと言い難いのも事実だ。
今回の兵庫県知事選で斎藤氏は、若年層への訴求を中心に、マスメディアではなくSNSで情報収集、情報発信を行い、その結果として、10代、20代の若者票を集めたという意見がある。
たしかに、出口調査を見ると、若者層ほど斎藤氏に投票している傾向がある。しかしながら、50代までは2位の稲村氏より斎藤氏のほうが投票率は高いし、60代でも拮抗している状況だ。
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