斎藤さん再選に「熱狂する人」が知らない"真実" 今回の県知事選は「SNSによる完全勝利」とは言えない
東洋経済オンライン / 2024年11月20日 7時30分
年代別の投票者の母数はわからないが、兵庫県の人口構成を見ても若年人口は多いとは言えず、若年層が選挙結果を左右したとまでは言い難い。
今回の報道が「偏向している」とされた背景
筆者は、過去に企業のリスク広報の仕事をしていたが、メディアの偏向報道、時には誤報に迷惑することも多かった。最近は、メディアの取材を受けたり、メディアに出演したりする機会も増えたが、報道される側と報道する側の両方から見て、メディア報道が偏向する理由も、ある程度は理解できるようになった。
今回に関しては、メディアが中立的、客観的な報道ができない特殊事情もあったように思える。具体的には下記の通りだ。
1: 人が亡くなっている事案である
2: 事実関係が明らかになっていない点が多い
3: 上記の中で、選挙という報道が制限される環境に突入してしまった
斎藤前知事のパワハラ疑惑などを告発する文書をめぐり、県職員2人が死亡しているが、死因は自殺と見られている。メディアは死者が出ると、報道を自粛する。特に、死者に対して否定的な報道はできなくなるのが一般的だ。告発した当事者が亡くなってしまっているうえに、メディアの報道も制限され、真相が曖昧なまま放置されることになってしまった。
百条委員会(県議会の調査特別委員会)による斎藤氏の疑惑追及が終わらないうちに、斎藤氏は県議会から全会一致で不信任決議案を受けて9月30日に失職。1カ月後の10月31日には、兵庫県知事選挙が告示され、斎藤氏は出馬し選挙戦が始まった。
それ以降、マスメディアは特定の候補者に偏らない、「公平な報道」を行わざるを得なくなる。これまで斎藤氏を批判していたメディアも自粛せざるを得なくなり、疑惑の真相がわからないままに県知事選が戦われることになった。
そのマスメディアの代わりに、情報収集の受け皿になったのが、SNSということになる。
NHKの出口調査では、投票する際に何を最も参考にしたか聞いたところ「SNSや動画サイト」が30%と、テレビや新聞よりも多くなっている。さらに、「SNSや動画サイト」と答えた人の70%以上が斎藤氏に投票したと回答している。
今回の選挙では、SNSの影響は多大であったことがうかがえるが、時代の潮流ということ以外に、上記のような特殊事情もあったことは忘れてはならない。
当初のメディアの斎藤氏批判一辺倒が公正なものだったのかは検証の余地があるとは思うが、メディアが報道姿勢を改めたからといって、問題が解決するとも言い難い。
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