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現代社会で「子どもの知性」をどう育てるか 自然のなかで導き出された「ある教え」とは

東洋経済オンライン / 2024年11月21日 9時0分

子どもの「良い目」も「社会性」も自然の中ではぐくまれるという(撮影:梅谷秀司)

今年7月、文部科学省が「日本の小中学生の50.3%が近視」と発表したのに続き、9月には全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)でも「世界的な近視人口の増加を食い止める必要性がある」と発表した。

全米科学アカデミーの発表に先駆けて「近視を病気として分類し、子どもが屋外にいる時間を増やすことで近視を抑制する必要がある」と発信しているのが眼科医の窪田良氏だ。

『近視は病気です』(東洋経済新報社)の著者でもある窪田氏と、国内シェアNo.1の登山GPSアプリの提供をはじめとする登山やアウトドア事業を展開する株式会社ヤマップ代表取締役社長の春山慶彦氏が、「子どもの近視」と自然体験で培われる身体づくりをテーマに6回シリーズで対談する。

第3回では、山で鍛えられる身体能力や認知能力について。2人がそれぞれの立場から語り合う。

山は平地よりも更に「知性」が鍛えられる

窪田:前回、登山が人間の身体発達面や空間認知面において良い影響を与えていると、登山をする当事者として感じているとお話しいただきました。今回はぜひこの点をお互いの立場から深掘りしていきたいと思います。

春山:私たちも先生と同様、子どもたちの外遊びや大人の屋外活動を推奨したいと常々思っています。ですが、私たちの事業の流れで語ると、外遊びは気持ちがいいから楽しいからといった話に落ち着きがちです。ヘルスケアやマインドフルネスの観点から話すことは難しいのではと。ですので、医師である窪田先生とこのような場でお話しできるのはありがたいです。

窪田:教育関係者の中にも、子どもが山で過ごすことが心身の発達に良いとおっしゃる人が増えてきましたよね。

春山:そうですね。第1回の対談で事例として挙がった台湾では、近視抑制のために1日合計2時間の屋外時間を小学校で確保したということでした。日本なら、目をはじめとした人間の身体全体における健康面に良いという、さらにもう1歩踏み込んだ話ができるのではと思っています。

窪田:そうですね。外で過ごすことで、人間が本来持つ身体の力を呼び戻せるのは目だけではありませんよね。

春山:外遊びは知性にいちばん響く、知性を鍛えると思っていて、このことをテーマに今年の春、対談本を出しました。慶応大学教授の安宅和人さんが『ハーバード・ビジネス・レビュー』に「知性の核心は知覚にある」とも書かれています。

私が思うに、人類最大のイノベーションは歩くこと。平らな場所をまっすぐ歩くだけでもかなりの情報を脳処理していると思います。歩く場所を山にすることで、空間認知能力も育てることになるかと感じています。

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