追い込まれたドコモ、「値下げ競争再燃」へ火蓋切る 競合も追随、業界は"ゼロサムゲーム"加速か
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 7時30分
「黙っていれば単純にお客様が減っていくだけで、通信収入自体が落ちていく。ここはもう、撃ち合うところは撃ち合うしかないと思っている」
【図表で見る】携帯電話契約数のシェア推移。ドコモのシェアは徐々に縮小していた
11月7日に開かれたNTTドコモの決算説明会。前田義晃社長は言葉の端々に、強い覚悟と苦悩をにじませた。
ドコモグループが同日発表した2024年4~9月期決算は、営業収益が2兆9938億円(前年同期比1.6%増)、営業利益が5533億円(同4.7%減)と増収減益だった。
減益の主因は、柱である「コンシューマ通信」だ。昨夏に導入した小容量帯の割安プランにユーザーの移行が進み、平均通信利用単価が低下傾向にあることに加え、新規獲得に向けた量販店での販促強化などに伴う大幅なコスト増が響いた。
インフレ下で踏み切った「実質値下げ」
決算発表に先立つ9月、ドコモのとある発表が業界に衝撃を与えていた。自社の格安ブランド「ahamo(アハモ)」の料金プランを10月から見直し、データ量20GB(ギガバイト)・月額2970円のプランのデータ量を30GBに増量するというものだ。価格は2970円に据え置き、「実質値下げ」となる。
携帯料金をめぐっては今年に入り、2021年の菅義偉政権下で進んだ大規模な官製値下げの影響が一巡した感があった。ユーザーのデータ利用量増などを背景に、総務省によると、値下げで急落した3大キャリアの平均ARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)は2023年度時点で上昇基調に転じていた。
国内では足元で物価が上昇する中でも、携帯電話料金は依然として低水準が続く。ただ、政府からの値下げ圧力に晒されてきたキャリアにとって、ここにきて値上げ方針に転じるのも難しく、しばらく各社の均衡状態は揺るがないとみられていた。
そんな中でドコモがプランを見直したのは、利用者の解約を抑えるためだ。データ利用の多い若年層が主であるアハモは、既存の20GBでは容量が不足するとの声が高まっていた。前田社長は「10月はアハモ30GBがポートアウト(解約)抑止にかなり効いた。MNP(電話番号を変えずにキャリアを乗り換えられる制度)でポートイン(新規契約)も大きく増えた」と手応えを口にした。
直近では、販促活動へのテコ入れも際立つ。ドコモは近年、オンライン契約の普及などを受け、実店舗であるキャリアショップの規模縮小を続けてきた。しかし販売代理店関係者によると、足元では顧客接点に強みを持つ店舗を再重視する方針に転換したという。「ドコモからは、契約者の純増に向け、他社からの獲得を重視してほしいといった要望がきている」(同関係者)。
この記事に関連するニュース
-
2025年の通信業界を占う「楽天モバイル」の動向 大躍進の勢いは続くか、真価が問われる1年に
東洋経済オンライン / 2024年12月24日 8時10分
-
子どものスマホ料金プラン オススメは【専門家が解説】
ASCII.jp / 2024年12月24日 7時0分
-
“激安”の「日本通信SIM」はどれだけお得? メリットや注意点、通信速度を検証
ITmedia Mobile / 2024年12月12日 15時21分
-
「ドコモ銀行」どう実現? 住信SBIネット銀買収の観測も
ASCII.jp / 2024年12月10日 7時0分
-
NTTドコモとauで通信品質に違いが出た2つの理由…ドコモユーザーは今すぐ他社へ乗り換えるべきなのか?
オールアバウト / 2024年12月8日 21時15分
ランキング
-
1女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
212月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
3ローソン、東京など一部店舗で販売する“氷”を自主回収へ ガラス片混入の恐れ
日テレNEWS NNN / 2024年12月26日 20時51分
-
4昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
-
5なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください