人類脅かすプラスチック汚染に歯止めはかかるか 生産規制、問題プラ禁止めぐり条約交渉大詰め
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 8時0分
人類の将来を左右する重要な条約制定のための国際交渉が、2024年11月25日から1週間にわたって韓国の釜山(プサン)で開催される。
プラスチックによる環境汚染が地球規模で深刻化している中、日本を含む各国は2022年3月、ケニアの首都・ナイロビで開催された国連環境総会で、新たな条約制定に向けて取り組むことで合意。それに基づく条約交渉が、大詰めを迎える。
そもそもプラスチック汚染とは何か、問題の焦点や解決の方向性は何かについてリポートする。
プラスチックの生産や消費量は今後も増加の一途をたどる見通しだ。
経済協力開発機構(OECD)が今年10月に発表した報告書によれば、プラスチックの生産および使用量は2020年の約4億3500万トンから、2040年には約7億3600万トンへと、7割もの増加が予測されている。
しかしOECDによれば、2040年時点でもリサイクルされるプラスチックはわずか6%にとどまり、多くがごみとして焼却されたり、埋め立てられたりする。不適切な処理も多い結果、環境中に漏れ出すプラスチックの量は2020年比で約50%も増加するという。
すでにプラスチックによる環境汚染は陸上から河川や海洋にまで広がっている。最新の研究では、サンゴの骨格にまで微細なプラスチックが取り込まれている実態が明らかになった。
サンゴの骨格からマイクロプラスチック検出
今年9月、九州大学の磯辺篤彦教授らの研究グループは、東南アジア・タイ南部での2年にわたる研究の結果、世界で初めて造礁サンゴの骨格から微細なマイクロプラスチック片の検出に成功したと発表した。
マイクロプラスチックとは、ペットボトルやビニール袋などのプラスチックが川や海などに流れ、紫外線の作用などで粉々になったものをいう。そのうち、直径5ミリメートル以下に微細化したものをマイクロプラスチックと定義されている。
磯辺教授によれば、「海に流れ出したプラスチックの約7割が行方不明となっているが、今回、世界で初めてサンゴの骨格にまでプラスチック片が入り込んでいることがわかった」という。
磯辺教授らの調査では、タイ南部の海域で採取した4種類の造礁サンゴの体内から174粒のマイクロプラスチックが見つかった。表面粘液、組織、骨格全体にそれぞれ38%、25%、37%の割合で分布していた。プラスチックの種類もポリプロピレン、ポリアセチレン、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)などさまざまだった。
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