「人生の後半」を楽に過ごすために手放すもの3つ 習慣を捨てることで発見できるものもある
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 10時30分
「面倒ごとの9割は、人生で身に付けてきた『執着』のしわざ。あなたの脳がつくり上げた、形のない幻影です」。そう語る元結不動密蔵院住職の名取芳彦氏は、同時にまたその執着について、「視点を少し変えてみるだけで、驚くほど簡単に消えて」いくものだとも指摘します。
そんな名取氏が仏教の視点から提唱する、「人生の後半になったら手放すべきもの」とは。
※本稿は、名取氏の著書『60歳を過ぎたら面倒ごとの9割は手放す 我慢してばかりの人生から自由になる54の教え』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
なぜ家事が嫌なのかと、心に1度問うてみる
仏教の修行で、掃除はとても大切にされています。
【イラストで見る】家事は「気持ちがいい」を優先して、ほどほどでよしとする
お釈迦さまの弟子の中に、とてももの覚えの悪いシュリハンドクという人がいました。そこでお釈迦さまは、「塵を払え、塵を払え」と言いながら掃除するよう指示します。
日々、教えられた言葉を唱えながら掃除をし続けた彼は、心の塵まで払われ、やがて立派な聖者になったと伝えられます(彼の墓にみょうがが生えたので、日本では「みょうがを食べるともの忘れをする」という俗信が誕生しました)。
この逸話のように、空気の入れかえをはじめとして、散らかっていたものをきれいにしたり、整理したりする掃除は、心の掃除、整理に通じるものがあります。
とはいえ、それでも、「掃除をはじめとする面倒な家事を放棄したら、どんなに楽な生活ができるだろう」と想像することは、誰しもあるでしょう。そんなときは、家事を面倒で嫌なものだという考え方そのものと向き合ってみることをお勧めします。
仏教には、"煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)"という言葉があります。煩悩とは心を乱す考えのことです。心の乱れがあるからこそ、その乱れを解消して心おだやかになれる方法が見つかるというのです(菩提=悟り)。
家事を嫌だと思えば心が乱れます。まずは、ただ顔をしかめ、嫌だ、面倒だと愚痴を言っている状態から、一歩道を踏み出してみましょう。その道とは、「私はどうして家事が嫌なのだろう」と考えることです。
「自分ばかりやっているのが納得できない」
「家事のせいで自分の時間をほとんど取れない」
「家事そのものが面倒」
このように、自分が何を嫌がり、心が乱れているのかを考えてみれば、おのずと理由が見つかるはずです。自分ばかりやっているのが悔しいのなら、家族会議を開き、家事の分担について意見を出しあってみるといいかもしれません。自分の時間が取れないなら、同時に2つのことをやったりして、効率性をアップさせる手もあります(私は、洗濯物を干すときにベランダを掃除します)。家事そのものが面倒なら、どこかで手を抜いてしまいましょう。
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