上場廃止のスノーピーク「純利益99%減」の背景 在庫が余りすぎて安全性は「危険水域」へ
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 18時30分
コロナ禍でのキャンプブームを追い風に急成長したスノーピーク。
しかしブームが「ピークアウト」してから、業績は急激に悪化。2023年12月期決算では「純利益99.9%減」という衝撃的な現状を発表し、2024年7月には上場廃止となりました。
同社になにがあったのでしょうか。決算資料を読むと、「ブーム終焉」以外の理由がみえてきました。
佐伯良隆著『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』より一部抜粋・編集してお届けします。
純利益は赤字寸前! ベースアップが利益を圧迫?
スノーピークは、1958年に新潟県で金物問屋として創業。その後、国内有数のアウトドア総合メーカーに成長し、近年はコロナ禍での3密回避から起きたアウトドアブームで高い注目を集めました。
【業績の推移を見る】コロナ禍で売上が急拡大も、2023年12月期の売上は急失速
損益計算書をみると、コロナが流行した2020~2022年にかけて、同社の売上は1.8倍に拡大。ところが当期(2023年12月期)の売上は、前期から16.4%減の257億円と、運動量が一昨年並みまで低下しています。
決算説明資料で国内売上の推移を確認すると、月商は2022年7月から前期を下回り始め、2023年は1月を除いて軒並み低下しています。ここから、アウトドアブームにより高まったキャンプ用品特需の反動減が、2022年の夏頃から訪れていたことが読み取れます。
また、事業別の売上(→下グラフ)では、アウトドア事業が前期から21.5%減少。
販売形態別(→下グラフ)では、ディーラー(小売り)卸が48.1%減と、大きく減少しています。
これについて同社は「卸売先の当社商品在庫は適正水準に近づきつつあるが、エントリー商品を中心に実売が減少」と説明。つまり、当期の売上減の主因は、ブーム終焉により初心者向け商品が売れなくなったことであり、その結果、小売店が一時的に過剰在庫に陥ってしまったとわかります。
続いて、営業利益をみると、前期比74.3%減で、営業利益率は売上が同規模の2021年と比べて11.2ポイントも減少。原因は、販管費の増加にあります。
有価証券報告書から販管費の内訳を調べると、特に「給料手当」の割合が大きく、2021年が24.5%に対し、2023年は27.0%とさらに増加。従業員数から1人当たり給与を単純計算すると、2021年が406万円に対し、2023年は506万円と100万円上昇していることから、給与のベースアップが利益を圧迫したと分析できます。
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