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「インフレ期には株式投資を」に抱く強烈な違和感 株式や不動産投資へのリスクが語られていない

東洋経済オンライン / 2024年11月24日 10時0分

ただし、預金金利が上がるとしても、株式や不動産への投資の収益率より低いのが普通だ。では、やはり株式投資をすべきか?

必ずしもそうとは言えない。なぜなら、株式投資はリスクのある投資だからだ。

リスクがあるとは、収益率が確定していないということだ。高い収益率を実現できる場合もあるが、逆に非常に低い収益率になる場合もある。場合によっては、損失を被る場合もある。株式投資をした人のすべてが、預金よりも高い収益率をかならず得られるわけではない。

借入をして実物資産に投資する場合も、平均的に見れば高い収益率が期待できるということであって、個々の場合を見れば、すべての投資が大きな利益をもたらすわけではない。場合によっては損失を被ることがある。その場合には借入金を返済することができなくなり、困難な状態に立ち至るかもしれない。

インフレだから企業利益が増えるとはかぎらない

企業の利益はさまざまな要因に影響される。だから、すべての企業やすべての株主が、あらゆる場合に、インフレで必ず利益を得られるわけではない。

借入で住宅に投資した場合も、購入した住宅がどの程度値上がりするかは、地域や住宅の種類などによって大きく異なる。そもそも、値上がりするかどうかさえ、定かではない。

このように、貯蓄から実物資産投資に移行することが、どんな場合もインフレに対する有効な手段であるとはいえない。

株式や実物資産に対する投資の収益率が預金金利より高いのは、このような危険に対する報酬なのだ。

リスクのある資産の平均収益率と安全資産の収益率の差を、「リスクプレミアム」という。

なぜリスクプレミアムが発生するのだろうか?その理由を、簡単な数値例で説明しよう。

いま、500万円の貯蓄を持っている人がいるとする。その人に、2つのチャンスが提供されたとする。

第1のチャンスを選べば、500万円が確実に550万円になる。だから、収益率は10%だ。

第2のチャンスでは、収益に不確実性があり、2分の1の確率で4000万円になるが、2分の1の確率で0円になる。平均的な収益は2000万円であり、平均収益率は400%だ。

第3のチャンスが出てきた場合はどうするか

では、人々はどちらを選ぶだろうか?多くの人は、平均収益率が低いにもかかわらず、第1のチャンスを選ぶだろう。なぜなら、第2のチャンスを選ぶと、貯蓄が0になってしまう危険があるからだ。そうなった場合には生活が立ち行かなくなり、極めて困難な状況に陥る。そうした状態は避けたいと考える人は少なくない。

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