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勘違いから生じた第3次世界大戦が近づいている 今こそNATO、ロシアなど関連国の歩み寄りが必要だ

東洋経済オンライン / 2024年11月24日 10時0分

世界大戦が起こった場合の最大の悲劇は、個々の犠牲もさることながら、それを止める方法がないということである。それは、現在をつくりあげているわれわれの価値規範をも消してしまうからだ。

1945年6月26日サンフランシスコで「国際連合憲章」が調印され、国際連合が生まれるが、戦後の世界の規範はこれによって成立している。世界戦争が起こるということは、この憲章違反であり、戦後世界の価値観を完全に葬りさることだからである。

その憲章の冒頭の言葉を、少々長いが引用しておく。

「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳および価値と男女および大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約そのほかの国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することが出来る条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、かつ、善良な隣人として相互に平和に生活し、国際の平和および安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除くほかは武力をもちいないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的および社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。よってわれら各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められ代表者をつうじて、この国際連合という国際機構を設ける」(『国際条約集』、有斐閣、2012年、15ページ)

もちろん、今の国際連合が戦勝国、とりわけ西欧による支配の延長にあることも否めない。ただ、この限りにおいて戦後世界が機能していたわけであり、第3次世界大戦の発生は、この戦後の価値観をも破壊することになることは間違いない。

日本という国家体制もこの枠の中にあるのだ。日本国憲法は、第98条にこう謳っている。

「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」

NATO、ロシアが歩み寄ることが必要だ

確かにウクライナ戦争は戦後の価値規範である国際連合憲章を侵犯するロシアとそれを守るウクライナという構図で始められたといえる。

だからNATO諸国はロシアに対して断固とした処置をとっているのだが、その結果が全面戦争となれば、この憲章さえも葬り去られ、この価値規範そのものの有効性を議論する場所(国際連合)さえ、なくなるのである。

そうならないためには、歩み寄りがNATOとロシアの両側に求められる。一定の痛み分けで納得するしかない。それが実効可能な和平案で、この危機を避けるには、国連が中立的立場となり、そうした提案を提案していくしか、もはや大戦争を避けることはできないのかもしれない。

的場 昭弘:神奈川大学 名誉教授

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