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北海道新幹線「函館駅乗り入れ」実現の可能性 大泉市長出席のセミナーで何が語られたのか

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 6時30分

北海道新幹線は北斗市内にある新函館北斗駅に停車するが函館市内には乗り入れていない(写真:久保田 敦)

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2025年1月号「札幌が遠のく北海道新幹線」を再構成した記事を掲載します。

函館駅乗り入れ検討は市長の公約

2024年10月6日、函館市内で市民フォーラム「新幹線の函館駅乗り入れに向けて〜北海道新幹線とまちづくりについて考える〜」が開催された。現市長の大泉潤氏は、公約の1つに新幹線の函館駅乗り入れについて調査することを掲げて2023年4月に当選。就任後、9月にコンサルタント会社と契約して調査を開始、その結果を2024年3月に公表している。

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フォーラムは函館駅近接のホテルで開かれ、200人の定員を超える230人が集まったそうだ。市長講演は函館市の人口減少状況の説明から始まった。

函館市の現人口は23.8万人で、1980年の34.5万人に対し31%減少。さらに減り続けて2040年は18.3万人になるとされ、消滅可能性自治体にも挙がる。市は交流人口の拡大や駅前再整備などを続けてきたが「よりダイナミックな変革をしないと希望が持てなくなる」と危機感を募らせる。

新幹線の函館駅乗り入れは市の願いであったが、新函館北斗―札幌間の着工に向けた2011年末の並行在来線経営分離同意以降、乗り入れ問題が市議会で取り上げられることがなかったと言う。新幹線駅を新函館北斗(当時渡島大野)に置くことで地元了解が得られた際、それをもって函館駅には新幹線駅を設けないとの了解も成立し、以後は話を持ち出すこと自体がタブー視されたかもしれない。当時は人口問題にも今ほど切迫感はなかったと想像できる。

そうした中、北海道新幹線札幌延伸となれば、札幌直結の「北斗」が消え、広大な駅に乗り換えが必須の3両編成の快速電車しか来なくなる。その様子を思い浮かべれば、駅の活気も駅前の疲弊も容易にイメージできてしまう。それで大泉新市長は新幹線乗り入れを改めて持ち出した。

東京・札幌両方向からフル規格車両で

コンサルによる調査報告では、新函館北斗駅から車両基地に向かう線の途中で分岐する保守基地線を使い、そこに函館本線との渡り線を新設する。以後は函館まで函館本線の上り線を三線軌化、新幹線の函館乗り入れ列車は三線軌側を運行する。この地上設備により、ケース1=札幌方面から乗り入れ8往復、ケース2=東京・札幌の双方からおのおの5往復と8往復乗り入れ、ケース3=札幌・東京の双方からの乗り入れ(5往復と8往復)で、東京方面は札幌行き列車との分割併合(7+3両)を行う3方式を考え、それぞれ車両をミニ新幹線とフルサイズとして、合計6パターンを試算した。整備費は173〜186億円と算出されている。

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