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がん治療の現場に異変、深刻化する「医師の偏在」 「医師不足で手術待ち数カ月」の恐怖シナリオ

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 7時10分

例えば自治医大附属病院は変形労働制を導入した。手術時間に合わせて1日の勤務時間は10時間と長いが、勤務日は週4日に収め、残りの1日は外勤日や研鑽日にできる。松戸市立総合医療センターでは子育て世代の事情を考慮し、医師の時差勤務制度の導入を検討している。

外科医については男性中心の働き方も問われている。消化器外科女性医師の活躍を応援する会で会長を務める、大阪医科薬科大学の河野恵美子助教は、「かつて外科医は、24時間365日働くことが前提だった。しかし若い世代の仕事観や家庭観は変化している。若手医師を増やすには、女性に特化した支援ではなく外科全体の働き方改革が必要」と訴える。

指導者の意識変革も不可欠だ。名古屋大学医学部附属病院 卒後臨床研修・キャリア形成支援センター長補佐で、消化器外科医の髙見秀樹病院講師は「若手の医師を増やすために変えるべきはベテラン医師の指導方法だ。従来の『見て学べ』だけでは効率よく育たない。若手にとって心理的安全性が保たれた中で効率よく学べる仕組みづくりが欠かせない」と話す。

しかし病院側の努力だけでは変わらないこともある。日本では診療科で給与の差をつけづらい。責任や負担の大きい手術、休日や深夜の手術を担う医師は、報われないシステムになっているのだ。やりがい搾取を見直さなければ将来の医療は成り立たないだろう。

兵頭 輝夏:東洋経済 記者

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