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「現代人の不安」の根底にある「つながりのなさ」 「私」ばかりで「私たち」という視点に欠ける社会

東洋経済オンライン / 2024年11月26日 12時0分

今の都市は、男性の目線で作られていて、子供や女性の目線では作られていません。東京なんかは、箱型のビルばかりです。それは、機能を重視して、都市というものを作っているからでしょう。

しかし、地方へ足を運べば、そこには機能ではなく、美しさを重視した風景が広がっていますし、そのような家もあります。そういう場所に一時的でも居住するということは、人間の幸福にとって重要なことかもしれません。

僕は、150人までの規模の人々は、言葉よりも、音楽的なコミュニケーションでつながっていると考えています。

お祭りがよい例です。地域特有の音楽が流れると、みんな同じように体が動きます。対面して同調するさまざまな所作によって、その地域のマナーやエチケットが身体に染みつき、身体文化として、そのコミュニティに適応していく。

そこに言葉は存在しなくてもいい。人々は、そういうところで、繋がってきたのではないでしょうか。

言葉は裏切りますし、人々に不安や疑いを抱かせます。しかし、身体は正直で、疑いを抱かせません。

今の子供たちは、オンライン授業などによって、身体で付き合う技法をきちんと学んでいない可能性があります。「非認知コミュニケーション」と呼ばれる、答えのない、でも受け止めなければならないものは、人間社会にはたくさんあります。それをしっかり覚えなければなりません。

(つづく)

(構成:泉美木蘭)

山極 壽一:総合地球環境学研究所所長、霊長類学者

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