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「レプリコンワクチンのデマに徹底的に対抗する」 不安に対しMeiji Seika ファルマ社長が答えた

東洋経済オンライン / 2024年11月26日 7時50分

国民が医療に関して、自己決定権をきちんと持つことが重要だ。手術をする時は必ず同意書を取るでしょう。医療行為が上から目線で強制されているように思われているが、実はそうではない。

強調したいのは、医療行為にリスクがあるのは当然ということだ。これを根気強く伝えていく必要がある。国民が正確な情報を得て、その後に自分が決断することが必要だからこそ、デマを流すことはあってはならない。

接種者や医療介入を受ける人たちに「大変ですね、不安もわかります」というのは寄り添うことではない。インフォームドコンセント(説明と同意)という言葉があるように、選択肢をエビデンス(科学的根拠)に基づいたデータとともに示し、本人が理解できるように説明することこそが、寄り添うことだと考える。

――コスタイベは既存のコロナワクチンより安全性が高いのでしょうか?

もちろんだ。ベトナムで約1万6000例の被験者を対象に行った治験では、コスタイベ接種群で、重篤な有害事象の発生率は1日目から92日間で1.5%だった。

これに対し、プラセボ(生理食塩水など効果のないもの)を接種した群では2.5%だった。さらに、92日から210日までの発生率はコスタイベ接種群もプラセボ接種群も1.2%だった。

これはすごい、開発しなければと思った。治験で得られたデータを基に、安全性から出発したワクチンといえる。しかもこのワクチンは、少量の投与でも効果が長続きする。

――今後、国民に対してどうコミュニケーションを取っていきますか?

前提として、医療用医薬品の効果・効能についてメーカーから一般の方へダイレクトに伝えてはいけないという広告規制がある。当社からこのワクチンは安全で有効ですとはいえない。

一般の方が臨床試験の結果にアクセスしたいのであれば、厚生労働省(医薬品医療機器総合機構)のホームページを見てもらえば、死亡例も含めてデータはすべて開示されている。

また、医学専門家や国会議員が流すデマに対しては、徹底的に対抗する。一般の方に「そこまでやるなら、あれはやっぱりデマだったんだ」と安心してもらえるような土台をつくっていく。

開発の意欲は批判があっても揺るがない

――不安をあおる言説が広がったことで、今後のワクチン事業への影響はありますか?

ワクチンを販売する企業全体で、大きく意欲がそがれたと思う。デマによって、コロナワクチンを接種しない人が多く出てきているからだ。接種者が少なければ、業界全体でワクチンの在庫を抱えてしまう。廃棄が出た場合、来年も製造数量を維持するかというと、そうではない。会社はこれを経営リスクと捉える可能性がある。

計画を見直す会社も出てくるだろう。でもこれは、国民の皆さんが本当に望むことなのだろうか。

mRNAワクチンやレプリコンワクチンの将来性については大きな期待を持っている。われわれの医薬品開発の意欲は、批判があっても揺るがない。

田口 遥:東洋経済 記者

兵頭 輝夏:東洋経済 記者

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