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コロナ新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか 「冬の対策とワクチン接種の是非」を医師が解説

東洋経済オンライン / 2024年11月26日 9時0分

この論文では、「コロナ感染から3カ月以上にわたって息切れや咳、疲労感、記憶障害、頭痛、集中力の低下、めまい、頻脈、睡眠障害、味覚・嗅覚障害、便秘・下痢などが表れる場合をコロナ後遺症」と定義した。

コロナ後遺症は、軽症や無症状感染でも起こることがあり、発症は感染後すぐの場合もあれば、数週間から数カ月後に顕在化することもある。症状は軽症から重度までさまざまだが、再発・寛解を繰り返す人が多い。

筆者の外来にも、コロナ後遺症を患っている患者さんが大勢来ている。80代の女性はコロナ感染後に咳や痰、息切れ、全身倦怠感が続き、そのまま寝たきりとなり、1年ほど後に亡くなった。亡くならないまでも、体調不良が続く人は珍しくない。

一方で、コロナ後遺症の問題については、この1年間で、随分と理解が深まってきている。

コロナは、普通の風邪のように短期間で体内から排除されず、長期感染することがある。これが後遺症と関係すると見られているのだ。

2月21日、オックスフォード大学を中心とした研究チームが『ネイチャー』誌に発表した論文によれば、3603人の感染者のうち、381人(10.6%)に1カ月以上経っても発症時と同じ量のコロナウイルスが確認され、そのうち54人(1.5%)は2カ月以上後にもウイルスが確認されていた。

コロナが1カ月以上陽性だった人の後遺症発症率は、1カ月以内に陰性化した人と比べて、55%高かった。すべての後遺症がそうだとはいえないが、長期感染がコロナ後遺症の発症に寄与している可能性が高い。

後遺症で認知機能低下の恐れも

筆者がもっとも驚いたのは、後遺症の認知機能への影響だ。

インペリアルカレッジ・ロンドンを中心とした研究チームが、2月29日に『ニューイングランド医学誌』に発表した研究によれば、コロナ感染で認知機能が低下するケースが認められている。

症状が4週間以内に消失した人でも知能指数(IQ)が3点程度低下し、3カ月以上続いた場合では6点も下がっていた。集中治療室に入った場合の低下は9点だ。

『ニューイングランド医学誌』編集部は2月29日号で、「ロングCOVIDと認知機能障害については、もっとエビデンスと研究が必要だ」という見解を掲載し、この問題の重要性を強調した。

長期感染については4月18日、アメリカ科学振興協会(AAAS)が発行する科学ニュースリリース配信プラットフォーム「EurekAlert!」に、613日間、感染が継続した72才の免疫不全の男性のケースが紹介された。

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