結党60年の公明党「つなぎ役」斉藤代表の苦悩 来夏の「政治決戦」、党勢回復に"進退"を懸ける
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 8時20分
11月17日に結党60年を迎えた公明党だが、就任したばかりの斉藤鉄夫新代表(72)には「“つなぎ役”の苦悩」(政治ジャーナリスト)が隠せない。「10・27衆院選」で8議席減の24議席と惨敗した同党は、9月に代表に就任したばかりの石井啓一氏(66)の落選・辞任で、世代交代に逆行する形で斉藤氏にお鉢が回ってきたからだ。
比例代表の得票が過去最低の約596万票にまで落ち込んだこともあり、斉藤氏は衆参同日選の可能性もある来夏の「政治決戦」での党勢回復に、代表としての“進退”も懸けることになる。
強力な支持母体・創価学会による「組織政党」としての得票落ち込みは、同学会の高齢化に加え、「清潔な政治」「平和の党」という公明党結党時の政治理念が、自民党との連立維持優先で後退しつづけてきたことが原因とみられている。このため、党内から「党勢回復には立党の原点への回帰が必要」(幹部)との声が広がる。
そもそも公明党は、国政デビューから長期間、野党として活動したが、1999年の小渕恵三・第2次改造内閣での連立参加以降は、自民党に引きずられる形で安保防衛政策などでの独自色が徐々に薄れていったのが実態だ。
特に、2012年末の安倍晋三政権復活後は、「保守派」の安倍首相が推進した集団的自衛権見直しなどで、与党として自民党に譲る場面が続き、「平和の党」という金看板が色あせ、創価学会婦人部などが不満を募らせたことが、その後の党勢衰退につながったとみられている。
そうした状況も踏まえ、結党60年に当たり「還暦には新しく出発するという意味がある。党再生の仕事を全力でやっていきたい」と表明した斉藤氏にとって、代表としての最大の課題は、「自民党との連携の在り方を根本的に検討すること」(党長老)だ。しかし、「そのこと自体が連立解消につながる可能性もある」(政治ジャーナリスト)ことは否定できず、石破茂首相が少数与党による苦しい政権運営を余儀なくされる中での自公関係の見直しは「現実にはあり得ない」(同)というのが実情だ。
竹谷代表代行は、故浜四津氏以来14年ぶりの人事
斉藤氏の代表就任は、11月9日の公明党臨時党大会で正式決定した。これを受け、斉藤新代表は、直ちに新執行部の人選に着手し石井前体制の人事を引き継ぐ形で、幹事長に西田実仁参院議員(62)、政務調査会長に岡本三成衆院議員(59)をそれぞれ再任。その上で、新たに代表代行に参院当選3期(東京選挙区)の竹谷としこ副代表(55)を昇格させた。同党が代表代行を置くのは、故浜四津敏子元環境庁長官以来14年ぶりとなる。
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