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「フィリピン大統領の暗殺を依頼」した副大統領 現職マルコス対前職ドゥテルテの全面対決へ

東洋経済オンライン / 2024年11月26日 19時0分

2024年10月28日、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領は、同政権の麻薬戦争に関する質問に答えるため、議員たちの前に姿を現した(写真・Ezra Acayan/Getty Images)

「もし私が殺されたら、BBM、リザ・アラネタ、マーティン・ロムアルデスを殺すよう頼んでいる。これは冗談ではない」

BBMとはボンボン・マルコス・フィリピン大統領、リザ・アラネタはその夫人、ロムアルデスは大統領のいとこで下院議長だ。発言の主はサラ・ドゥテルテ副大統領。2024年11月23日未明のオンライン記者会見での一幕だ。

現職の副大統領が暗殺者を雇って大統領を殺害する計画を表明する事態に、政府は国家安全保障上の重大事案として国軍や警察に警備体制の強化を指示し、国家捜査局が副大統領への捜査を言明した。フィリピンでいったい何が起きているのか。

放送禁止用語連発の異様な会見

サラ氏は、下院が副大統領の首席補佐官を侮辱罪で拘束し、マニラ首都圏の矯正施設に送ったことに抗議するため会見した。サラ氏は副大統領府などの機密費の使途に不正があったとして下院に召喚されているが、出席拒否を続けたことから首席補佐官が代わりに下院公聴会に出席したところ虚偽答弁を繰り返したとして身柄を拘束されていた。

異様な会見だった。サラ氏は身振りを交えて声を荒らげ、父のロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の口癖だった放送禁止用語を連発した。暗殺を依頼した人物に「(大統領ら3人を)殺すまでやめるなと伝えた。その人物はわかったと答えた」と述べた。

サラ氏のマルコス陣営に対する「口撃」は今回が初めてではない。

2024年9月18日には「大統領とは友人でも何でもない。選挙の時に初めて会っただけだ」と話し、10月18日には、マルコス政権が自身への攻撃をやめなければ、マルコス氏の父(シニア)の元大統領の墓を掘り起こして遺骨を西フィリピン海(南シナ海)に投げ捨てると発言した。続いて「大統領の首をはねることを想像したことがある」などと述べた。いずれも記者会見での発言である。

これまでは大統領の息子や側近らが激しく反発し、非難の声を上げても、マルコス氏自身は「友人と思っていた」「ノーコメント」などの穏当な反応を示してきた。

それでもさすがに暗殺発言には堪忍袋の緒が切れたのだろう。11月25日にビデオメッセージを発し、「このような犯罪計画を処罰されないままにしておくことはない」「大統領さえ簡単に暗殺できるなら、一般の市民を殺すのはどれほど簡単か」と述べ、さらに「副大統領として議会で質問に答えていたらこのような『ドラマ』にはならなかっただろう」と反撃に出た。

「ニノイ・アキノ暗殺はマルコス家の仕業」

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