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6割増の急成長「シチズン エル」手掛けた女性社員 地球環境や人に配慮したサステナブルウォッチ

東洋経済オンライン / 2024年11月27日 16時0分

『シチズン エル』にはサステナビリティやエシカルといったコンセプトが、単にトレンドだからではなく、担当者の誕生した子どもの未来を思う心、子どもに内面の美しい人に育ってほしいという願いも込められていました(写真:kikuo/PIXTA)

物価高が続く昨今、消費者心理としてはいいものをなるべく安く買いたいと考えますが、企業、生産者としてはコスト高を値段に反映させたい、でも値上げで顧客離れするのは困る、と悩ましいところでしょう。リブランディングコンサルタントの深井賢一さんの著者『売れる「値上げ」』から、シチズン時計が体現した、顧客やユーザーの心をとらえる、商品の「ストーリー化」を一部引用・再編集してご紹介します。

素材選びの基準をストーリーに

時計メーカーのシチズン時計が製造・販売する『シチズン エル』は、ジュエリーのようなデザイン性に加え、シチズン時計が開発したエコ・ドライブ(太陽光などの光を電気エネルギーに変えて時計を動かし、定期的な電池交換を必要としない技術)を搭載するなど、「地球環境や人に配慮したサステナブルウォッチ」をセールスポイントにしています。

『シチズン エル』の商品サイトでは、『シチズン エル』のサステナビリティとして、前述のエコ・ドライブをはじめ3つの項目が挙がっています。

その中の「未来のために、いまできる選択」と題した項目に続く次のフレーズに私は興味を引かれました。

「誰かを犠牲にしないこと」「持続可能な選択であること」を素材選びの基準に。

誰かを犠牲にしない素材のひとつに紛争鉱物を使わないことがあります。

紛争鉱物とは、コンゴ民主共和国をはじめとした、アフリカ諸国などの紛争地域で採掘された鉱物資源のこと。鉱物採掘国では、鉱物資源の輸出が外貨獲得の重要手段ですが、紛争地域では、その利益が労働者や市民に還元されることなく反政府組織や武装集団の資金源となっている現状があります。

労働者たちは利益が還元されるどころか、奴隷のように酷使され、小さな子どもまで労働に駆り出され、劣悪な環境下で貧困にあえいでいる実態に対して、国際的な規制の必要性が唱えられています。

『シチズン エル』に使用している鉱物は、これらの鉱物のサプライヤーに毎年調査を行い、製錬所で人権侵害が行われていないことを証明する第三者検証を受けているかを確認することで、こうした悲しい背景とは関わりのない鉱物調達に取り組んでいます。

このような徹底したサステナビリティはそれだけでも付加価値になり得ますが、『シチズン エル』の最大の付加価値は、ブランド誕生に秘められた、そのストーリーにありました。

ストーリーには「身近な思い」が登場する

『シチズン エル』を手掛けたのは、商品企画部に所属する女性社員のMさん。

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