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超展開ドラマ「ゼンケツ」はヒットの要素しかない SNSが沸きまくる"仕掛け"が散りばめられている

東洋経済オンライン / 2024年11月27日 14時0分

神々はそれぞれ特殊能力を持っていて、その力を駆使して事件に臨む。日本版『アベンジャーズ』みたいなものと考えればわかりやすいだろう。

興玉は善悪を判断する力、天宇受亮命は神を呼び寄せる力、猿田毘古神は道案内する力、豊玉毘売命は水を操り、月読命は時間を遡る力を持っている。

「ゼンケツ」にちりばめられた“ヒット作の要素”

非科学的な事件を科学的な視点で読み替えるのではなく、非科学的なことを堂々と肯定する物語であるというスタンスが判明したところから、ドラマはシュールな様相を見せる。

八百万の神が現代にいて、人間と共存しているという体(てい)になり、興玉と小夢が居酒屋でビールを飲みながら交わす会話は、コント「もしも神様が人間界で暮らしていたら」のような様相を呈していた。

興玉「たしか平安時代ですよね」

小夢「最近じゃん」

というやりとりには、神様にとっての1000年は短いという観念が宿り、「今回の人生も」という何気ない言葉によって転生前提で会話が進む。小夢は何度転生しても毎回、同じ相手(猿田毘古神)と結婚していて、一方の興玉は毎回、独身だとか。

この感じ、何か既視感があるなあと思ったら、イエスと仏陀が現代の安アパートで慎ましくシェアライフしている漫画『聖☆おにいさん』だった。

これは12月に実写映画『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメンVS悪魔軍団〜』が公開され、ここでは藤原竜也は堕天使ルシファーを演じている。

先行する作品を意識したのか偶然かは定かではないが、転生ものでは、2023年、バカリズムが脚本を書き、高い支持を得た『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)という先行作もある。

主人公が別の世界線に転生し生き直しを図る物語で、いまの人生で失敗したことをやり直したい願望をくすぐった。このドラマのヒットにより、転生という概念が当たり前にプライムタイムのドラマで放送されるようになっているのである。

ただ、『ゼンケツ』は『聖☆おにいさん』や『ブラッシュアップライフ』のようなコメディではない。

居酒屋コントかと思わせるシーンで興玉は、(令和のいまは)人間のほうが神を超えているかもと思わせぶりに呟く。さらに、発達したテクノロジーを使いこなすには「未熟過ぎます」と人間を批評するのだ。

第7話では新たな人物(野間口徹)が登場し、不老不死の人魚のミイラを使って、現状の神々を排除し、新しい神を作り上げようとする計画を語った。

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