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イスラエルとレバノン「60日停戦」に至った事情 弱体化したヒズボラとイスラエルが迎える試練

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 14時0分

2024年11月25日、イスラエルの空爆を受けたレバノン・ベイルート市内(写真・Anadolu/Getty Images)

イスラエルはレバノンと60日間の停戦合意に至った。アメリカの仲介で実現し、現地時間の2024年11月27日午前4時(日本時間の同日午前11時)から発効した。

イスラエルでは11月26日の夜、10対1の閣議決定で停戦案を承認した。反対したのは「ヒズボラを屈服させる歴史的な機会を逃す」と主張したベングビール国家安全保障相のみである。

そもそもイスラエルは、レバノン国家と戦火を交えているわけではない。レバノン南部から執拗にイスラエルを攻撃し続けてきたシーア派武装組織ヒズボラと戦ってきたのである。

2023年10月7日、ハマスが越境してイスラエルにテロ攻撃を仕掛け、250人以上の民間人を拉致し、略奪などの残虐行為の限りを尽くし、1200人以上を虐殺した。翌10月8日、レバノン南部に陣取るヒズボラはハマスへの連帯を示し、イスラエルに対して無差別ミサイル攻撃を開始した。

停戦協定の13項目

その後ヒズボラは、約14カ月にわたってミサイルを撃ち続けてきた。その数は約1万発に及ぶ。平均すると1日に20発以上のミサイルを飛ばしている計算になる。このため、6万人超のイスラエル北部住民は今も避難を余儀なくされている。

今回発効した停戦協定の主な内容は次の13項目である。

・ヒズボラおよびレバノン領内のすべての武装勢力は、イスラエルに対していかなる攻撃も行わない。
・同時に、イスラエル陸海空軍は、レバノンの目標に対していかなる軍事行動も実施しない。
・イスラエルとレバノンは国連安保理決議1701の重要性を認識する。
・これらの協定は、イスラエルおよびレバノンの自衛権行使を否定するものではない。
・レバノン南部において、武器の携行および軍事行動が許可される唯一の武装組織は、レバノン国の治安部隊および軍隊である。
・レバノンへの武器または武器関連資材の販売・供給・製造は、レバノン政府の監督下に置かれる。
・無許可の武器および武器関連資材の製造施設はすべて撤去される。
・すべての軍事インフラおよび基地は解体され、無許可の武器はすべて没収される。
・イスラエルおよびレバノンの承認する委員会が設立され、協定の履行を監督し支援する。
・イスラエルおよびレバノンは、協定違反が予測される場合、委員会とUNIFIL(国連レバノン暫定軍)部隊に報告書を提出する。
・レバノンは、全国境、チェックポイント、南レバノンラインに治安部隊および軍隊を配備する。
・イスラエルは、60日以内に国境以南へ段階的に撤退する。
・アメリカは、イスラエル・レバノン間の交渉を間接的に促進する。

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