侮ると危険すぎる「ドローン」のサイバーリスク 狙われるデータ、対策している企業はごく僅か
東洋経済オンライン / 2024年11月29日 8時0分
例えば、点検分野においては各重要インフラのメンテナンス情報、土木分野においては新規着工工事の測量データなどの機密情報の漏洩が考えられる。さらに、情報漏洩に伴う直接的な被害だけでなく、信用失墜やその報道による企業価値の毀損につながるだろう。
また、ドローン搭載のカメラに写り込んでしまった映像や画像データの個人情報が、悪意ある第三者に渡ることによるさまざまな被害も想定され、機体メーカーはもちろん、ドローンサービス企業やエンドユーザー企業に至るまで対策が求められる。
これまで日本において、ドローン関連のセキュリティインシデントは多く発生していないのだが、それは対策がきちんとできているというよりも、現在までのドローンの使用は実証実験が多く、実用化しているケースが少なかったことにもよるだろう。
悪意ある第三者は、主に「愉快犯的な要素」「特定の企業や人に対する怨恨的な要素」「金銭的な要素」、もしくはその混合が動機となって犯罪に至る。今後ドローンの実用化が進んでいった場合には、動機を誘発する機会が増え、犯罪が増加していく可能性があるだろう。
また現状、ドローンのセキュリティに関してはまだ脆弱性が高く、狙われやすい状況にもある。実際、海外ではドローンのライトショーにおいてさまざまな妨害行為が起こってきており、ドローンの産業活用が進む日本も対岸の火事ではない。
実際に対策ができている企業はわずか5.9%
ドローンのセキュリティ対策が進んでいないのは、筆者が代表を務めるセキュアドローン協議会が昨年末に実施した「ドローンの業務活用におけるセキュリティ対策の意識調査」にも表れている。
同調査では、機体メーカー・機体関連機器メーカー、ドローンサービス提供事業者、ドローン活用ユーザー企業の136人から回答を得た。ドローンのセキュリティ対策は必要だと思うかの設問についての回答は、「とても必要だと思う:58.1%」「必要だと思う:39.7%」と大半の回答者が、ドローンのセキュリティ対策の必要性を認識している。
とくに心配な点については、「電波障害・GPS障害:73.5%」「墜落:73.5%」「ドローンで取得した情報漏えい(各種ログや映像・画像データ等):69.9%」「悪意ある第三者によるハッキング・乗っ取り:65.4%」「悪意ある第三者による脆弱性の悪用:45.6%」が上位を占めた(複数回答)。
ところが、ドローンのセキュリティ対策の実施については、「対策している:5.9%」「将来的な対策を検討している:16.2%」となり、対策の必要性の認識と実際の対策には大きなギャップがある結果となった。
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