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会社の「倒産リスク」を"見える化"する4つの方法 安全性は、会社の体つきと血液の流れをみる!

東洋経済オンライン / 2024年11月29日 9時40分

ところがその会社が、現預金を300億円もっている場合、実質的な借金(“純”有利子負債)は200億円(500億-300億)となり、ネットD/Eレシオは1倍と計算されます。つまり、その会社の財務安全性は高いと評価できるのです。

このようにネットD/Eレシオは、会社の債務返済能力を表す目安のひとつであり、数値が低いほど長期的な借金の返済能力が高く、倒産のリスクが低いことを意味します。

③短期の安全性は「流動比率」でわかる

会社の安全性をさらに深く測るには、貸借対照表の「左右」のバランスも大切です。この左右のバランスから、会社の「借金の返済能力」がみえてきます。

まず確認したいのが、流動負債に対する流動資産の割合です。これを「流動比率」といい、比較的短期の資金繰りの安全性を表します。

わかりやすく身近な例で考えてみましょう。仮にあなたが100万円を借りていて、来月末が返済期限とします。現金や預貯金、あるいは商品券のように売ればすぐに現金化できるものが十分にあれば安心でしょう。

しかし、そうでなければ車や家、土地などの財産(資産)を売らなければなりません。とはいえ、家や土地は商品券などと異なり、すぐに売れるとは限りません。

このようにすぐ(1年以内)に返済義務のある流動負債に対し、1年以内に現金化できる資産(流動資産)がどれだけあるかを表した数値が、流動比率です。

流動比率は100%を超えて高いほどよく、一般的には150%以上あれば安全性が高いといわれます。1年以内に返す借金に備えて、すぐに現金化できる資産(現預金や売掛金など)を1.5倍以上もっていれば安心、というわけです。なお日本企業の流動比率は、平均で130~140%程度で推移しています。

④中長期の安全性がわかる「固定比率」と「固定長期適合率」

次に確認したいのが、自己資本(純資産)に対する固定資産の割合です。これを「固定比率」といい、中長期的な資金繰りの安全性がわかります。

土地や建物、工場設備など、長期間使用する固定資産は、返済義務のない自己資本で運用する割合が高いほど安全ですよね。そのため固定比率は、低いほどよいとされます。

この数値が100%を超える場合、固定資産の一部を負債によって運用していることになります。ただし、100%を超えたからといって即危険、というわけではありません。なぜなら日本の多くの企業は、銀行から融資を受けて設備投資を行っており、実際に日本の全産業の平均値は150%程度あるからです。

ただ固定比率が高いときは「すぐに返済が必要な借金(流動負債)で固定資産を購入していないか」チェックが必要です。

それを確かめるのが「固定長期適合率」で、これは純資産と固定負債(すぐに返す必要のないお金)の合計で固定資産の代金をまかなえているかを表します。

固定長期適合率が100%を超えた場合は、固定資産の一部を流動負債でまかなっているということ。身近な例でいえば、返済期限の短い消費者金融に借りたお金を、住宅資金の一部にあてているような状態です。

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佐伯 良隆:グロービス経営大学院教授(ファイナンス)

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