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元テレ東・佐久間宣行への「人生相談本」が相次ぐ訳 地に足ついた"仕事術"が評価される納得理由

東洋経済オンライン / 2024年11月29日 8時30分

佐久間の仕事論が机上の空論ではないことは、メディアでの振る舞いを見ていてもよくわかる。その1つとして取り上げたいのが、著書の中で度々重要性を語っている「仕事相手のメンツをつぶさない」気遣いである。

ちなみに補足すると、メンツをつぶさない=媚びやご機嫌取りを意味するものではない。それは自分が仕事をするにあたって障壁を作らないための“戦略”の1つで、他者への敬意を示すものでもあると彼は語っている。

そんな主張を体現していると感じたのは、先月、和田アキ子がパーソナリティを務めるラジオ『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』に佐久間がゲスト出演したときのこと。トークが弾んだ中盤、和田から「(私の)何が怖いですか?」と、セルフイメージに関する直球の質問が飛び出し、場は笑いに包まれた。

この質問に対して佐久間は「芸能界の大御所は、ほぼ全員、どこが地雷かわからないのが怖い」「(和田は芸人ではないので)どこまで踏み込んでいいかわからないから、結果(周りが)緊張しているように見える」と冷静に分析。これに和田は納得の反応を示していた。

このやり取りで感じたのは、佐久間の伝え方の繊細さである。彼は、回答の主語をピンポイントに「“和田さんは”どこが地雷かわからない」と指さず、「“芸能界の大御所は全般的に”どこが地雷かわからない」と表現し、ニュアンスをややズラしているのだ。

些細なことかもしれないが、これによって個人名を指すよりも指摘が和らいで聞こえる。まさに、佐久間流の「相手のメンツをつぶさない」コミュニケーション術だと感じた。

また、そんな細やかな機転は過去にもあった。2023年にトークバラエティ番組『まつもtoなかい』に佐久間がゲスト出演した際のこと。MCの松本人志が「僕のダメなところってどこですかね」と尋ねていた場面が印象深い。

なかなか難易度の高い質問だが、これに佐久間は「(松本が映画などで表現してきた世界観をプロデュースする)ブレーンが必要なんじゃないかなと」と答え、松本に絶賛された。

このとき佐久間が伝えた内容をよく見ると、松本の本業である「お笑い」についてはジャッジしていない。あくまで佐久間の本業である「プロデュース」の側面から意見を述べることで、またしても相手のメンツには触れず、巧みな切り返しを見せたのである。

嘘はつかずに、相手の機微を繊細に汲むことでメンツを立てる。ベテラン共演者もつい佐久間に相談したくなる所以は、そんなところにも見え隠れしている。そして、こういった細やかな気遣いは、人間関係の中で摩耗している会社員たちにも響いているだろう。

「会社員か、独立か」永遠の悩みに対する答えは…

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