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ドラッグストア成長鈍化、勝ち組の分かれ目は? あらゆるコスト上昇で利益確保が難しい状況に

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 7時40分

大手各社は増収を維持するが、利益の確保で明暗が分かれている(編集部撮影)

コロナ禍以降、外出の増加などで急成長したドラッグストア業界。しかし、直近に発表された大手の決算は明暗が分かれる結果となっている。

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物価高を背景に割安な食品の取り扱いを強化する動きや、調剤薬局の併設を進める動きがみられるが、売上高の伸びは徐々に鈍化。人件費や原価の上昇も重なり、利益の確保に苦心する企業も出てきている。

ドラッグストア大手の経営は今どのように変わってきているのか。直近の大手各社決算から動向を読み解く。

勝ち組ドラッグストアとの分かれ目

業界大手4社の直近の四半期業績をまとめると、全社が増収だが、営業利益で差が開いた。

額が最も大きいマツキヨココカラ&カンパニーはほぼ横ばい。コスモス薬品は前年同期比28%の増益を達成し、ツルハホールディングスも増益となった。これに対し、ウエルシアホールディングスは減益で営業利益率も最も低く、苦しい状況がうかがえる。

ウエルシアの苦戦の理由は人件費の膨張だ。同社は他社と差別化すべく、早くから医療用医薬品を取り扱う調剤薬局の併設を進め、化粧品のカウンセリング販売にも注力してきた。そのため、薬剤師などの専門人材を多く採用しており、競合よりも人件費率が高い。

さらに今年6月以降、正社員に対して平均6%、パート従業員に対して平均7.95%と過去最大の賃上げを実施。各社が大量出店を続けて人材不足も危惧される中での賃上げだったものの、店舗作業の効率化などが遅れ、人件費率の膨張につながった。

2020年の中間決算時点の人件費率は12.9%だったが、今回の中間決算では14.1%に跳ね上がり、当初の想定を超える勢いで上昇が続く。

今後は同社の特徴でもある24時間営業や深夜営業を地域の事情に合わせて変えることや、顧客に対してメイクの方法やおすすめの化粧品を紹介するビューティアドバイザーの配置の見直し、不採算店舗の閉鎖、DXの推進による業務効率化などを掲げる。

桐澤英明社長も「人件費の部分をいかに攻略していくかがカギ」と今後の課題を語る。「これまで直感や経験に頼っていたが、今後は客観的なデータに基づいて意思決定していく。ウエルシア薬局の店舗の生産性(が低く)、販管費の高さに問題があるとの指摘があり、DX化も進める」(桐澤社長)。

これまでは差別化を意識して医薬品や化粧品の領域でサービスの向上を進めてきたが、人件費の負担が重くなってきた今、こうした方針を大きく見直す時期に来ているようだ。

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