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「父が孤独死の大豪邸」姉妹がカメラを入れた理由 遺体の状態によって、死の受け入れ方は変わる

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 11時0分

「自分たちでも勝手に入って行ってはいけないような緊迫した空気が漂っていて、レスキューの方たちについていくことはできませんでした。入る隙もなく、ここはプロの方々に任せたほうがよいと思い、玄関の外で祈るようにして待っていました」

10部屋以上もある大きなお屋敷

実家にはもともと祖父母が2人で住んでいた。しかし、20年前、祖父が亡くなったことを機に父親は実家に戻った。腰が悪かった父親は1年前に手術を受けて長期間入院。そのタイミングで祖母には施設に入所してもらった。

現在97歳になる祖母はまだ元気に暮らしているものの、1人ではもう家に戻ることはできない。そうして祖母から託される形で、姉妹は祖母の生前整理と父親の遺品整理をイーブイに依頼することになった。

2階建ての一軒家は10部屋以上もある間取りで、周囲の家と比べても3倍ほどの大きさがある。築60年。長女は1歳までこの家で暮らしたというが、そのときの記憶はない。ただ、その後は姉妹で何度も遊びに行った家である。2人にとっては馴染みのある「おじいちゃんとおばあちゃんの家」だった。

先に述べたように父親は腰が悪かったため、晩年は1階にあるリビングと寝室だけで生活をしていた。2階にある洋室は祖父の書斎だった。祖父の死後は、壁紙を張り替えて今度は父親がしばらく書斎として使っていたという。

現場で作業にあたったスタッフは全部で10名。いつもの現場より人数を投入し、一気に片付けていく。あらかじめ姉妹が遺品を取り出してくれていたため、夕方4時には作業が完了する予定だ。

今まで「孤独死」に触れてこなかった理由

イーブイにとって孤独死は珍しい現場ではない。しかし、動画として配信した現場はほとんどなく、あえて触れないようにしてきた。その理由は、創業者である二見氏自身の経験にあった。

「僕がまだ10代だった頃、親父が駅のトイレで自殺しました。親父は離婚をした後に1人で事業をしていましたが、うまくいっていなかった。SOSを出していたことはわかっていたんですが、僕は気付かないフリをしていたんです。当時、プラプラしていた僕はそんな状況であることを知りながらも、ときどきお金を借りに行っていました」

父が自ら命を絶った駅に降りるたびに、二見氏は後悔の念に襲われる。

「親父は死ぬときどんな感じだったのか、どんな気持ちで死んでいったのか、本当は家族に囲まれて死にたかったんじゃないかと今でも考えますし、僕は死ぬまでこの後悔を抱えながら生きていくはずです。

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