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自衛隊「ミサイル大量購入」が予算消化に過ぎない訳 「防衛予算をどう使うか」の末に決められた購入計画

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時0分

アメリカ海軍艦艇から発射されるトマホークミサイル(写真・U.S. Navy/Handout)

防衛費の増額が続いている。従来の予算規模は年5兆円であった。それが2023年度は約7兆円、24年度は約8兆円となった。2025年度は約9兆円となる見込みである。

それにより防衛省はミサイルの大量購入を進めている。戦争となった際に弾薬不足を起こさない。そのために事前に在庫を増やしておくという発想である。

はたして、このミサイル購入は妥当だろうか。

結論から言えば、悪手としかいいようがない。第1にミサイルには短期間で旧式化してしまう問題、第2には保管整備の手間が大きい問題、第3には、発射する戦闘機や護衛艦がなくなるという問題がある。

15種類を大量に購入

防衛省はミサイルをまんべんなく購入するつもりである。輸入型も国産型も、対空用、対艦用、対地用、陸自向け、海自向け、空自向けと、いずれについても従来以上の数を調達する計画だ。

2025年度にはとくに15種類を購入したいとしている。これは防衛省概算要求の説明資料でわざわざ名前を挙げて提示したミサイルの数だ。

用途別に分ければ、対空用はSM-3、SM-6、PAC-3、中SAM改善型、23式SAM、AIM-120、AAM-4の7種。対艦用は12式改良型、JSM、23式ASMの3種。対地攻撃用は多目的誘導弾の1種、敵国攻撃用は潜水艦用誘導弾、高速滑空弾、トマホーク、JASSMの4種だ。

なお、一部のミサイルは多用途型である。SM-6やトマホークは対艦兼用、12式改良型やJSMは敵国攻撃用としても利用できる。

事業の合計額はざっと2500億円となる。実際には資料に出てこないミサイルも購入するし、逆に査定で減額される可能性もあるが、おおよそこの額になりそうだ。

はたして、このミサイル大量購入は妥当だろうか。不適切だ。いずれは不良在庫となり持て余すからだ。

もちろん、適切な数の予備ミサイルは用意しなければならない。この点では、これまではなおざりにすぎた。

1970年代、実は予備ミサイルはゼロだった。ミサイルは搭載艦や搭載機、ランチャーを買ったときに付けたぶんの数しか持っていなかった。

例えば、護衛艦用は1回分、つまり1回で搭載できる数だけだ。例えば1977年度予算で発注した護衛艦「はつゆき」なら16発となる。発射機ぶんの8発と艦内弾庫ぶんの8発を建造費で購入して終わりにしていた。

「適切な数を保有」になおざりだった自衛隊

戦闘機用は2回分だった。スパロー・ミサイルを4発搭載できるF-4ファントムの場合、1機あたり8発の購入で終わりだ。

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