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マレーシアの食事情で知るベジタリアンの奥深さ 魚はOK、乳製品もOK、根菜はNGなど実にさまざま

東洋経済オンライン / 2024年12月1日 13時0分

まず、自らの意志で菜食を始める人。理由の1つは健康志向だ。

最近、クアラルンプールで筆者がときどき買い物に行っていた有機食品店の店主が代わった。新店主は、母親から店を引き継いだ華人女性だ。母親は、がんになったことを機に、仕事を辞めた。

闘病生活を支える家族も、食事や健康について真剣に考えるようになったという。「お客さんにも健康な生活を意識してほしい」という願いから、質のよい食品を吟味して店に置くようにしている。

これまでは保存の利く穀類や乾物、調味料などが中心だったが、最近は卵や野菜も置くようになった。ランチで菜食料理を始めると、近隣で働く人が集まるようになった。

動物を殺すことに加担したくない

「動物愛護」ベジタリアン

健康志向以外に増えているのは、「動物愛護を意識したベジタリアン」だ。動物を食べるということは、その前提として動物を殺さなければならない。そして非ベジタリアンの多くは、食物連鎖の一部として受け入れている。

ただ、人間は肉や魚を食べなくても生きていける。動物を殺すことに加担したくないという思いから、「植物性のものだけを食べる」と決めた人たちがいる。それが動物愛護を意識したベジタリアンだ。

筆者の知人で、イポーで菜食料理店を経営する華人女性は、「動物を殺すのが嫌で、ベジタリアンになりました。肉、魚は食べません」と語る。一方、動物を殺すわけではないので「卵や乳製品は食べる」とのことだ。

「宗教的背景」によるベジタリアン

最後に「宗教的背景によるベジタリアン」について見てみよう。

冒頭で触れたように、マレーシアにはインドからの移民の子孫が住んでいる。インド文化を受け継いでいる彼らを理解するために、ここで少しインドの菜食事情について触れる。

先のユーロモニターの調査でも、世界のベジタリアンの半数以上はインドに住んでいるという。同国の人口14億人のうち、3割超(4億2000万人以上)がベジタリアンと見られている。

インドの人口の約8割を占めるのが、ヒンドゥー教徒。続いてイスラム教徒が14.2%、キリスト教徒が2.3%、シーク教徒が1.7%、仏教徒が0.7%、ジャイナ教徒が0.4%と、宗教も多様だ(2011年インドの国勢調査による)。

根菜類も食べない厳格なベジタリアン

このうち厳格なベジタリアンとして知られるのはジャイナ教徒で、肉・魚など動物以外に、にんじんや玉ねぎなどの根菜や球根野菜も食べない。「生命のもとになるもの」を口にすべきでないという思想があるためだ。

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