外資系ホテル第4波の特徴は「地方×安心価格」 シンガポール地盤のアスコットは5年で出店倍増へ
東洋経済オンライン / 2024年12月1日 7時30分
これまで東京や大阪、京都などの観光地を中心に出店してきた外資系ホテル。その出店攻勢がついに地方にまで及び始めている。
シンガポールに拠点を置く外資系ホテルのアスコットも地方進出を狙う1社だ。シンガポールの不動産投資ファンドであるキャピタランド・インベストメント・リミテッドの傘下にある。全世界で16万室を展開している世界中堅のホテルチェーンだ。
「日本には建築中を含めると22軒のホテルを持つが、その数を5年で2倍に引き上げる。リゾート地への展開も検討している」
同社で開発ヴァイスプレジデントを務めるライアン・チェン氏は、今後の出店方針を明かした。
広島や名古屋、札幌での出店想定
地方での出店地域は広島や名古屋、札幌などを想定しているという。リゾート地では白馬(長野県)や箱根(神奈川県)を候補に挙げた。
日本では東京を中心に、宿泊に特化したホテルを運営してきた。
有名なのは「アスコット丸の内東京」や「オークウッドプレミア東京」。千代田区の大手町と丸の内に建つ、1泊10万円程度からの高級ホテルだ。1カ月を超えるような長期滞在宿泊者も受け入れるアパートメント型のホテルとしても知られる。
【写真】キッチンと家電が備わっており、長期滞在もできる「オークウッドプレミア東京」の室内
アスコットは、なぜ地方への出店を決めたのか。最高事業開発責任者のセレナ・リム氏は次のように説明する。
「当社のホテルに宿泊したゲストが、次は温泉やハイキングなどで地方へと行きたがっている。とても自然なことだ」
地方進出を進めるのはアスコットだけではない。今年4月にはフランスの大手ホテルチェーンであるアコーが、旧大和リゾート(現デスティネーション・リゾーツ&ホテルズ・マネジメント)から22軒のホテル運営を受託した。
その狙いについてアコーは、「訪日客はリピート率が高く、リピート客は地方や温泉、日本らしい体験に興味を持っている。22軒のホテルは世界遺産から近く景勝地などが多い。地方都市においてアコーの存在感を高め、訪日需要を獲得するための絶好の機会だと考えた」と説明する。
アコーの運営になって8カ月ほど経った。経営状況については、「ホテルによっては客室単価が倍以上になっており、稼働・単価ともに大きな成長をしている」という。
今は外資系ホテル出店の「第4波」
立教大学観光学部の沢柳知彦特任教授は、コロナ禍以降に「外資系ホテル出店の第4波」を迎えていると指摘する。その大きな特徴は地方進出、さらにホテルの多様化だ。
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