セブンMBOに「伊藤忠が参画」の現実度と真意 争奪戦は早くもヤマ場、岡藤氏が語った腹の内
東洋経済オンライン / 2024年12月2日 8時0分
資源バブルの終了に、トランプ大統領の再登板――。総合商社を取り巻く外部環境が大きく変わろうとしている。『週刊東洋経済』12月7日号の第1特集は「商社 迫られる転換」だ。大手5社はどんな勝ち残り策を描いているのか。各社のトップインタビューに加えて、注目事業の最前線をリポートする。
セブン&アイ・ホールディングスの海外企業による買収危機に、伊藤忠商事が救いの手を差し伸べようとしている。
11月13日、セブン&アイはグループ創業者である故・伊藤雅俊氏の次男で同社副社長の伊藤順朗氏、そして創業家の資産管理会社である伊藤興業から買収提案を受けたと発表した。
伊藤興業はセブン&アイ株の約8%を保有している。今回の買収提案はMBO(経営陣による買収)に近い形が検討されている。伊藤家が特別目的会社を設立してセブン&アイに対してTOB(株式公開買い付け)を行い、非公開化する、という流れだ。
クシュタールへの対抗策
この買収提案が、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから受けている7兆円規模の買収提案への対抗策であることは明らかだ。7兆円は、セブン&アイへの買収提案が明らかになる前の同社の時価総額を5割も上回る破格の金額で、「額面だけ見れば(セブン&アイが買収提案を検討するために設置した)特別委員会も反対しにくい状況」(セブン関係者)。だが、「クシュタールはガソリンへの収益依存度が高く、高品質な食品を武器にするうちの戦略とは相いれない」(グループ幹部)との反発がある。
したがって創業家側による買収提案額は7兆円を超える公算が大きく、一部報道では9兆円という説も浮上する。実現すれば、日本企業によるものとして過去最大のM&A(合併・買収)となる。
この「セブン争奪戦」の一角に浮上したのが伊藤忠だ。東洋経済は、MBOの提案が発表された翌14日、伊藤忠の岡藤正広会長に取材。出資を検討する背景について問うと、こう口を開いた。
「クシュタールがセブンを買収したら、フランチャイズ加盟店は安心して仕事ができないだろう。ロイヤルティーを引き上げたり、無駄を省いたりして効率的に企業価値を上げる、なんてことはすぐにやるかもしれない。だが鈴木敏文氏の時代から味を徹底して追求してきたのがセブンだ。効率性だけでは困ることもあるだろう」
「そこで、われわれも協力させてほしいと言ってきた。なかなか門戸を開いてもらえなかったが、今ではやっと話を聞いてもらえるようになった」
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