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「妻が死んでくれた」と動画配信した67歳の暮らし 今の自由は妻と過ごした時間があったからこそ

東洋経済オンライン / 2024年12月3日 9時0分

機能的で整頓された部屋は居心地が良さそうで、飼い犬のゆいまる君も自由にあたりを歩き回り、くつろいだ表情を見せていた。

老後を年金とYouTube収入で生きる理由

ぺこりーのさんがひとり暮らしを始めたのは、60歳のとき。それまでは企業の役員としてコンテンツマーケティングの分野で培ったスキルを、存分に発揮してきた。当然のように60歳を越えても、企業からの引き合いはあったそうだ。

「60歳になった頃には企業のデジタル部門での再雇用の話もありましたけど、それはやめようと思って。企業に就職すると確かに収入は安定するけど、また時間に縛られるじゃないですか。

もう、誰かに管理される生活には戻りたくなかった。それなら、もっと自由に、自分のスキルを生かして稼ぐ方法を考えたほうがいいと思ったんです。

それに、私の場合特別支給の老齢厚生年金の資格があったので、11万円程の年金受給の資格がある。ところが企業に再就職すれば、それはもらえず、まだまだ年金を払う立場でいることになる。それならフリーランスで、年金をもらいながら働く方がいいと思いました」

その考えにいたった裏には、早すぎる妻の死があった。

「妻が亡くなったのが、僕が59歳のとき。彼女は58歳でした。再就職せず年金をもらいながら個人事業主になる道を選んだのは、妻がいなくなったことで、時間の使い方を見直した結果です。

娘も独立していて、家族のために働く理由がなくなった。これからは、収入が減ったり安定を失ったりしたとしても、自分が楽しいと思えることに時間を使おうと決心したんです」

そんなぺこりーのさんの話を聞くと、早々に妻の死を乗り越えたかのように見えるかもしれない。

しかし、実際はその真逆だった。

「妻が亡くなったあとは、本当に何もできませんでした。料理を作る気力も、掃除をする気力もない。ただ、毎日どうにか生きているだけで精一杯のありさま。どれくらいそうだったのか、もう覚えてないくらい……」

妻の死は突然だった。

「妻の晩年を考えると、最期まで明るい人だったなと思うんです。アイロンをかけたり、僕のためにご飯を作ったり、犬を育てたり。そんな日々のなかで、実は彼女の心臓は病に蝕まれていた。

僕の健康に気づかってばかりいたけれど、自分のことには無頓着なところがあったのかもしれません。

彼女の最期の1年間が『晩年』だったと気付いたとき、もっと楽しいことを一緒にしてあげればよかったと後悔しました。でも亡くなってしまってしばらく経つと、後悔以上に、妻が日々もたらしてくれていた幸せに、感謝の気持ちが湧いてきたんです」

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