司法省「グーグルにクローム売却要求」ヤバい影響 IT業界にこれから大転換の時代がやってくる
東洋経済オンライン / 2024年12月3日 8時0分
アメリカの司法省は、Google(グーグル)が展開するインターネットブラウザ「Chrome(クローム)」の売却を裁判所に請求した。その背景と今後の展開について、IT業界に詳しいKDDI総合研究所リサーチフェローの小林雅一氏に聞いた。
「消費者が不便を強いられている」という判断
――そもそも司法省は何を問題視しているのでしょうか。
【動画で見る】米司法省がChrome売却を要求/反トラスト法(独占禁止法)抵触/2000年に分割の是正命令が出たMicrosoftとの違い/テック業界への影響は?
もともとは2020年10月、グーグルが検索サービスを独占しているとして司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した。グーグルは自社の検索エンジンをスマートフォンの初期設定にしてもらうために、年間260億ドルぐらいの金額をアップルやサムスン電子など他社に支払っていた。
それによって消費者の選択肢が狭まる。検索エンジンはほかにもあるが、グーグル検索しか使えなくなってしまうので消費者はそれによって不便を強いられている。だから司法省は問題視して訴えたわけです。
今年8月にその判決が下って、グーグルが敗訴した。ただしその時点ではどういう措置を適用するかは決まっていなかった。その措置について、今回司法省がいろいろ要求した中で注目を浴びたのがクローム売却でした。
――グーグルにとってはかなり厳しい内容ですよね?
司法省が要求したとしても、裁判所がすべてを認めるとは限らない。だから、とりあえずいちばん厳しい要求を最初にしておいて、お互い妥協して、最終的に落ち着くところで落ち着くというのを狙っているのだろうと思います。
――クローム売却となった場合、グーグルの事業にどんな影響があるのでしょうか。
かなりの影響があります。ブラウザー市場に占めるクロームの割合は60~70%ぐらいといわれている。クロームを使えば、グーグルの検索を使うことになって、グーグルには広告収入が入ってくる。クロームが売却されると、グーグル検索を利用する人が減り、広告収入も減ります。
それだけではなく、検索によってグーグルはいろいろなユーザーのデータを得ている。そうしたデータは生成AIの開発などにも非常に役立つわけですが、それも減るわけです。
つまり未来のグーグルのビジネスにもそうとう悪影響があるということで、かなり注目されています。
――クロームの買い手としては、どういった企業が想定されるのでしょうか。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
手軽に「ググる」はもうできなくなる?…米司法省がグーグルに「Chrome売却」を要求した本当の理由
プレジデントオンライン / 2024年12月13日 6時15分
-
グーグルがChromeを売却したらどうなるのか ブラウザー市場シェア6割超、150億ドル規模の再編へ
東洋経済オンライン / 2024年12月5日 9時20分
-
米司法省、グーグルにクローム売却要求 検索市場独占の是正で
ロイター / 2024年11月22日 7時53分
-
米司法省、グーグル分割を要求 クローム売却で独占是正を
共同通信 / 2024年11月21日 19時21分
-
「クローム」売却要求か 米司法省、グーグルに
共同通信 / 2024年11月19日 12時43分
ランキング
-
1グーグル、サムスンと開発したアンドロイドOSのVR端末を来年発売…先行するアップルと競争激化か
読売新聞 / 2024年12月13日 21時12分
-
2ヤマト運輸が日本郵便に配達委託の停止を打診…「クロネコゆうパケット」対象、日本郵便側は反発
読売新聞 / 2024年12月13日 21時32分
-
3【ガソリン価格】「ずっと高いままでつらい」補助金縮小でさらに値上がりへ 物流の現場にも影響し物価上昇のおそれも
MBSニュース / 2024年12月13日 19時15分
-
4「訪日客バブルなき横浜」でホテル開業ラッシュ 宿泊単価を下げず「東京から近い」弱みを補えるか
東洋経済オンライン / 2024年12月14日 7時30分
-
5ガスト「750円・超健康モーニング」で送る幸福な朝 あのアサイーが都心でも1000円未満で食べられる!
東洋経済オンライン / 2024年12月14日 7時40分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください