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日本人に多い「会社嫌い」なぜ深刻な問題なのか 社員を機械のように考えるマネジメントの誤り

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 11時0分

我々人間はホモ・サピエンスでもある。どれだけ知恵を付けたとしても、ホモ・サピエンスとしての生物学的な制約や特質を確実に保有している。それらを理解して、できるだけ逆らわず、またときに弊害を前もってコントロールすることで組織成果と個々の人間のウェルビーイングを高めようというのが、本書の主張である。

最も重要な制約は、個では外敵に対して圧倒的に弱いため、集団をつくらなければ身を守れないということだ。

脳はそれに適応するように、25万年かけて進化してきた。つまり脳は社会的関係を築くようにプログラムされているのだ(スマホを家に置いたまま外出してしまった時の不安感を思い出されよ)。本書の原題「The Social Brain」すなわち「社会脳」は、このことを意味する。

「1人あたりにかける時間」×「人数」

では、社会脳に基づくルールとは何か。社会的関係(≒仲間作り)に使える認知能力のキャパシティーは脳の大きさ(約1400cc)によって決まり、それが制約となる。

そしてキャパシティーを埋めるのは、「1人当たりにかける時間」×「人数」である。関係性の深さはそれにかける時間によりほぼ決まるので、深い関係性を結ぼうと思うとその人数は自ずと限られる。

1人当たりにかける時間とは、「社会的毛づくろい」に費やす時間を指す。サルは実際に仲間の毛づくろいをするが、ヒトはそうした身体接触がなくとも深い会話や食事をともにするなどして同様の活動をしている。

そして面白いのは、(社会的)毛づくろいがスイッチとなって起こる仕組みだ。スイッチが入ると、幸福な気持ちにさせるホルモンであるエンドルフィンが分泌される。それが繰り返されることでその集団に貢献したいと思うようになり、関係性がさらに深まっていく。

共著者のダンバーは、こうした関係性の深さにもレイヤーがあり、集団規模5(支援集団)、15(シンパシー集団)、50(良好な関係の友人)、150(友人)で安定することを発見した。それをさまざまな実証データで裏付けていく。そこは本書の読みどころのひとつだ。

読者は自分を同心円状に取り囲む、規模の異なるいくつかの集団にダンバー数を当てはめ確認することだろう。

こうしたルールを前提として、本書は以下について展開していく。

「もっとも重要な課題は、人の自然な社会行動をどのように利用すれば、より良好な結果を生む組織をつくることができるかにある。(中略)どうすれば、そこで働く人のためにより満足のいく社会環境をつくることができるか」(34ページ)

マネジメントにとって最も重要な役割

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