「中小企業診断士」資格で開業はどうすればいい? 「老後を見据えて無理のない範囲で」と考えるのは危険
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 8時0分
ビジネスパーソンに人気の資格、中小企業診断士(以下「診断士」)。以前は定年後に年金をもらいながらボランティア的に活動するのが主流でしたが、近年は30~40代で独立開業するケースが増えています。本稿では、『企業内診断士のリアル: 資格取得がゴールじゃもったいない』より一部抜粋・再構成のうえ、独立に成功するための心得をご紹介します。
独立開業するならできるだけ早く
プロコン(プロの経営コンサルタント)志望者からよく聞かれるのが、独立開業のタイミングです。タイミングといっても「いま独立開業するのは遅すぎるか?」という質問はほとんどなく、大半が「もう少し待つべきか?」という質問です。
<20代・30代前半の若手>
「自分の父親のような年齢の経営者と渡り合う自信がない。もう少し経験を積んでからにしたほうがよいか?」
<30代後半・40代のミドル層>
「家のローンと子供の学費で余裕がない。余裕ができるまで待つべきか?」
<50代以降のシニア層>
「あと2年したら退職金が満額出るので、それまで待ったほうがよいか?」
これに対し、私は「やると決めているなら、できるだけ早く」とアドバイスしています。
なぜ早く独立開業したほうがよいのでしょうか。若手については、会社の仕事とプロコンの仕事は大きく違うので、会社内でどこまで経験を積んでもプロコンとしてやっていく自信がつくことはありません。「経験を積んでから」と言っている企業勤務の診断士(以下「企業内診断士」)は、たいていいつまで経っても独立開業しません。
たしかに、20代・30代前半の若いプロコンが経営者と渡り合うのは難しいでしょう。しかし、プロコンは経営者だけを相手にするわけではなく、色んな部署の担当者にもサービスを提供します。
逆に近年は、AI・メタバース・暗号資産といったむしろ若い人に優位性がある業務が増えています。若手でもそんなに成功確率が低いわけではありません。
しかも若手が有利なのは、やってみてダメだったとしても、簡単に再就職できるということです。やり直しが利く若手は、「経験を積んでから」と言わず、早めに独立開業してコンサルタントの経験を積むのが得策でしょう。
50代以降は年齢とともに成功確率が下がる
一方、悩ましいのがミドル層とシニア層です。身軽な若手と違って、ミドル層・シニア層は住宅ローン・子供の教育・親の介護といった重荷を抱えていることが多く、独立開業の是非やタイミングを慎重に検討する必要があります。
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