Teams対応AI翻訳、DeepLが音声市場に進出 上場企業8割導入の実績、音声分野で第三の柱確立へ
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 13時0分
両サービスとも13言語での音声入力に対応し、出力される翻訳キャプションはDeepLがサポートする33の言語すべてで利用できる。また、企業特有の専門用語や商品名などを登録できる用語集機能にも対応し、ビジネスでの実用性を重視した設計となっている。
欧州発の言語AIユニコーン
DeepLは創業時、わずか7言語に対応する翻訳ツールからスタートした。その後、独自のニューラルネットワーク技術により翻訳の精度で頭角を現し、現在は31言語に対応。今年5月には著名ベンチャーキャピタルのIndex Venturesから3億ドル(約450億円)の資金調達を実施し、企業価値は20億ドル(約3000億円)に到達した。
目を見張るのは日本市場での急成長だ。2020年に日本語対応を開始して以降、東証プライム上場企業の約80%が採用するまでに成長。2023年7月には欧州・英国圏外で初となる日本法人を設立するなど、日本市場を重視する姿勢を鮮明にしている。
CEOのヤロスワフ・クテロフスキー氏は「日本のビジネスパーソンの60%が週1回以上英語を使用していますが、その半数以上が苦労しています。さらに3分の2が発音に自信がなく、英語での会話に踏み出せない状況です」と説明する。
DeepLの日本での活用は主に2つのパターンがあるという。1つは世界に拠点を持つ日本企業の社内コミュニケーション。製造拠点は日本にあるものの販売はアメリカで行うような企業では、言語の壁を越えた正確なコミュニケーションが不可欠だ。もう1つは、これからグローバル展開を目指す日本企業の対外コミュニケーション支援。海外拠点を持たない段階から、新規顧客との円滑なコミュニケーションを可能にする。
翻訳特化型AIの優位性
「ビジネス翻訳では、あらゆる場面で正確さが求められます」とクテロフスキー氏は強調する。「汎用的なAIモデルも存在しますが、私たちは翻訳に特化したテーラーメイドのアプローチを取っています。企業のコミュニケーションでは、どの時点でも正確な翻訳が不可欠だからです」。
DeepLは長年にわたり翻訳に特化したAIの開発を続けてきた。今年夏に発表した新しい言語モデルでは、競合他社の製品と比較して編集が必要な箇所が2~3分の1で済むという。同社は翻訳という明確な目的に特化することで、特に企業のコミュニケーションで求められる高い正確性を実現している。
一般的なLLMは幅広いタスクに対応できる反面、特定の用途における精度では専用モデルに及ばない。DeepLは翻訳という明確な目的に特化することで、特に企業のコミュニケーションで求められる高い正確性を実現している。例えば、企業固有の用語や商品名を登録できる用語集機能を備え、一貫した翻訳を可能にした。
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