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Teams対応AI翻訳、DeepLが音声市場に進出 上場企業8割導入の実績、音声分野で第三の柱確立へ

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 13時0分

「企業の対外コミュニケーションにおいて、翻訳の誤りは信頼を損なう可能性があります。だからこそ、私たちは汎用AIではなく、翻訳に特化した開発を続けています」

オズボーン氏は、リアルタイム翻訳の技術的課題を具体例で説明する。「"I found it"という発言があったとします。一見シンプルな翻訳に見えますが、その後に"hard"や"easy"という言葉が続くと、意味が大きく変わります。リアルタイムの翻訳では、文が完結する前に翻訳を開始する必要があり、特に日本語やドイツ語のように文末に重要な情報が来る言語では、この課題が顕著です」

この課題に対し、DeepLは11年かけて構築した企業データセットと、言語専門家の大規模なネットワークを活用。方言や話者の個性にも対応できる多様なデータでAIモデルを訓練してきた。最近では、欧州で初めてNVIDIA Blackwellシリーズの新型AI GPUを導入するなど、技術投資も加速している。

日本市場向けの言語対応

DeepLの特徴は、地域性を考慮した細やかな言語対応だ。音声認識においては、異なる方言や話者の個性に対応できるよう、多様なデータセットでAIモデルを訓練。地域による方言の違いが大きい日本語でも、高い認識精度を実現している。

また、2023年6月には日本語翻訳に「敬体・常体」機能を導入。30言語からの翻訳で、ビジネスシーンに適した敬体(です・ます調)と、カジュアルな会話に適した常体(だ・である調)を選択できるようになった。このような地域特性への配慮は、DeepLが単なる翻訳ツールではなく、ビジネスコミュニケーションのプラットフォームとしての価値を提供しようとしている表れといえる。

来年までには大規模会議でのリアルタイム翻訳サポートも視野に入れる。実際、今回の東京での製品発表会では、まだ人間の同時通訳者を介して行われた。「来年の説明会では、このDeepL Voiceを使って実施したい」とクテロフスキー氏。自社製品による多言語リアルタイムコミュニケーションの実現に強い意欲を示した。

グローバル展開を加速する日本企業にとって、高精度な音声翻訳は新たな武器となりそうだ。

石井 徹:モバイル・ITライター

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