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フランス「不信任」でどう転んでも近づく極右政権 国債利回り急騰、来年後半は選挙「臨戦モード」

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 8時10分

早くも行き詰まった少数連立与党のバルニエ首相(写真:NurPhoto/Getty Images)

フランスで9月に発足したバルニエ政権が総辞職に追い込まれる窮地に立っている。議会の最大勢力である左派勢力「新人民戦線」、それに極右政党「国民連合」は12月2日、それぞれ内閣不信任案を提出した。

国民議会(下院)で過半数の議席を持たないバルニエ政権は、来年度予算案の年内可決を目指し、議会採決を迂回した特別な立法手続きによる予算通過を目指した。議会は対抗措置として24時間以内に内閣不信任案を提起できる。不信任案が否決され内閣が信任された場合には、法案が可決されたと見做される。

不信任案が可決されれば、内閣は総辞職し、来年度予算案も廃案となる。

政治・財政リスクでフランス国債の利回り急騰

国民連合は左派・新人民戦線の不信任案に同調する可能性を示唆している。左派勢力だけでは政権を倒すのに必要な議席を持たないが、極右勢力の議席を合計すると、不信任案の可決に必要な過半数を上回る。

投票は不信任案の提起から48時間以上が経過した後に行われ、早ければ現地時間の12月4日(日本時間の4日夜から5日未明)に予定される。今回の投票を乗り切ったとしても、来年度予算案の審議過程で別の不信任投票が提起される見込みで、6日と20日にも投票が行われる可能性がある。

にわかに再浮上したフランスの政治・財政リスクを受け、フランスの国債利回りが急上昇(債券価格が急落)し、域内の安全資産とされるドイツ国債との利回り差が一時、欧州債務危機時以来の水準に拡大した。

政権発足当初から、極右がバルニエ政権の存続可否を握る状況にあることは広く知られていた。だが、下院の前倒し選挙は2025年後半まで行うことができず(憲法規定で下院選挙は1年に1回しかできず、前回選挙は6~7​
月実施)、今回の投票で政権を倒しても選挙に持ち込むことはできない。

次の大統領選挙や国民議会選挙での政権奪取を目指す極右は、政治混乱や財政危機を招いたとの有権者の批判を回避するためにも、この段階での政権打倒を目指さないと考えられていた。

ところが極右は、来年度予算案の審議に入ると、内容を自らの要求に沿った形に修正しない限り、バルニエ政権を信任しない可能性を示唆した。

極右が「政権打倒へ方針転換」した理由

極右政党の関係者は、電力税の引き上げ撤回、年金の物価スライドの早期完全導入、外国人に対する医療扶助の削減、欧州連合(EU)予算への拠出金削減などを要求している。

バルニエ首相は11月28日、電力税の引き上げ撤回、不法移民に対する健康保険の利用条件厳格化、議会選挙に比例代表制を導入する法案を2025年春までに提出することを約束した。

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