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クリスマスの新定番「1人シュトレン」浸透のなぜ 日本で独自進化し続けるシュトレンの現在地

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 9時0分

例えば「広島県尾道市の『かぎしっぽ』さんは、『おのみち潮風生姜』、尾道・向島産のドライイチジクなど、地元食材を押し出す『熟成しまなみシュトーレン』という商品を出しています。他にも信州りんごを使った長野の店や、地元産の小麦粉を使った山口の店などがあります」と中島氏は説明する。

バターを使わないヴィーガン対応商品やグルテンフリーで米粉を使ったシュトレンなどを出す店も少なくない。2種類以上用意している店は多く、中には6種類も販売する店がある。

「本場ドイツには、シュトレンの決まりごとがあるので種類が限られているのですが、日本は決まりがない。日本のパン屋さんはアレンジ力がすごくあるので、そこで特徴を出して販売しやすいのではないでしょうか」(中島氏)

バリエーションが多ければ、買う側にとっても選ぶ楽しみが増える。そのためか、リベイクの利用者で「2本買っている人は少なくないですし、多い人は5本6本と買っています」と中島氏。

店側にとって、手間とコストがかかるシュトレンは、実はアレンジすることで差別化し利益を取りやすい商品でもある。「日持ちするシュトレンで地元の特色を出せば、全国で勝負できる、とシュトレンの通販に活路を見出すパン屋さんもあります」と中島氏は言う。

福岡には、パン屋の店舗とは別に通販でシュトレンのブランドを作り、通年で販売する店もあるという。東京でもたまに、「サマーシュトレン」などとしてクリスマス以外にシュトレンを販売する店を見かける。本場でないからこその自由さが、店にとってはチャンスとなり、客にとっては選ぶ楽しみにつながっているのだ。

クリスマス自体が変化している

「1人シュトレン」が広がる背景には、1人を楽しむ文化が浸透してきていることがあるだろう。中島氏は、「24歳の私の周りでも、クリスマスに1人でご飯を食べる、映画を観る、ネイルをしていたという人はけっこういます。1人で過ごしても別に寂しくない、と私自身も感じます」と話す。

バレンタインもこの10年ほどは、自分用にチョコを買う人がめずらしくなくなっているし、1人用鍋の素も1人用おせちも販売されている。クリスマスも1人で過ごすことに抵抗がない人が増えるのは、ある意味自然なのかもしれない。

1人クリスマスについては、レオパレス21が2018年時点ですでに、1人暮らしをする18~29歳の男女600人を対象に「ひとり暮らしとクリスマスに関する意識・実態調査」を実施。56.2%が同年のクリスマスを1人で過ごす予定があり、そのうち72.1%は「寂しいと思わない」と回答している。

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