クリスマスの新定番「1人シュトレン」浸透のなぜ 日本で独自進化し続けるシュトレンの現在地
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 9時0分
21年前、「自由が丘スイーツフォレスト」がオープンした際は、1人用にケーキを買うのが恥ずかしい人たちが楽しめるように、と館内に買ってすぐに食べられる飲食スペースを用意していたことを考えると、時代の変化を感じずにはいられない。
世代交代が進んだことに加え、通販でも買え自宅で食べられるため人目を気にせずに済むシュトレンは、1人で楽しむ人が増加しているのではないだろうか。そして、そもそもクリスマス自体が必ずしも集まって楽しむ場でなくなりつつある。
その背景をいくつかの角度から分析してみよう。女性にフォーカスすれば、自分の財布を持つ人がめずらしくなくなり、好きなこと、やりたいことにまっすぐ向かえる人たちが増えたことがある。家族と言えども共有できない楽しみはある、と割り切る、個人として自立した女性が増えたのではないだろうか。
クリぼっちについてみれば、人気ドラマシリーズ『孤独のグルメ』の影響もあり、個食を楽しむ文化を容認する社会になってきたことが影響しているだろう。
クリスマスの位置づけの変化がありそうだ。バブル時代は、クリスマスは恋人と過ごすものという世間の圧が強かった。その上の世代にとっては、家族で集まる年中行事の1つだった。しかし平成世代にとって、クリスマスは必ずしもパーティの日ではない。
よくも悪くも「孤独になった日本人」の象徴?
先のレオパレス21の調査では、クリスマスはテレビやゲームを楽しむなど静かに過ごす人が多い。デートする人もレストランより自宅で過ごす人が多く、高級店へ行くバブル期の価値観は過去になっていた。
バブル期はまだ、「欧米に追いつけ追い越せ」のムードが残っていたこともあり、経済的な豊かさを求める人が多かったことに加え、背伸びすれば高級店に行ける経済力も若い世代が持っていた。しかし今は、欧米に引け目を感じる気持ち自体がわからない、という人も多くなっただろうし、若い世代に経済的な余裕もあまりない。
恋愛や家族のウエイトが低下した時代とも言える。1人暮らしは多数派で、少子化は止まらない。さらに、四六時中SNSで誰かとつながっている人たちにとっては、1人で過ごすこと自体が、ホッとできる貴重な時間となっているのかもしれない。
「1人シュトレン」は、いい意味でも悪い意味でも孤独になった日本人の変化を表していると言えるのではないだろうか。
阿古 真理:作家・生活史研究家
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
クリスマスまであと一週間。見つけたら即買いすべし、SNSで人気の「シュトーレン」まとめました。
東京バーゲンマニア / 2024年12月16日 19時8分
-
食べ比べする熱狂的ファンも急増中! 憧れホテルが誇る本格“シュトーレン”【10選】
CREA WEB / 2024年12月3日 17時0分
-
シュトーレン界の革命児かも...。クリスピー・クリーム・ドーナツ、想像以上の味わいに感動。《編集部レポ》
東京バーゲンマニア / 2024年12月1日 7時47分
-
【DEAN & DELUCA】世界の伝統的なホリデースイーツが勢揃い バイヤーが世界中から見つけた選りすぐりの伝統菓子を発売開始
PR TIMES / 2024年11月26日 13時15分
-
手作り派におすすめ【シュトーレン レシピ4選】~王道・ショコラ・マロン~アレンジのパウンドケーキも!
Woman.excite / 2024年11月21日 6時0分
ランキング
-
1【スマホの中身は⋯】「デジタル遺品」3大解決法 「家族が大迷惑することも⋯」どうすればいい?
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 12時30分
-
2ガソリン価格大幅値上げ 補助金が段階的に縮小、きょうからできるガソリン節約“燃費アップ術”【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月19日 21時32分
-
3電車の迷惑行為 3位「さわぐな」2位「ちゃんと座れ」1位は? 時期的に要注意か
乗りものニュース / 2024年12月19日 18時42分
-
4円相場急落、一時157円台 5カ月ぶりの円安水準
共同通信 / 2024年12月19日 19時33分
-
5リニア工事が原因=東京・町田の水と気泡発生―JR東海
時事通信 / 2024年12月19日 20時27分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください