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「自然の中での体験」が未来の子どもを救う? 目の健康の観点以外からもオススメする理由

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 10時0分

6回にわたった対談の最終回は、自然体験の重要性があらためて話題になった(撮影:梅谷秀司)

今年7月、文部科学省が「日本の小中学生の50.3%が近視」と発表したのに続き、9月には全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)でも「世界的な近視人口の増加を食い止める必要性がある」と発表した。

全米科学アカデミーの発表に先駆けて「近視を病気として分類し、子どもが屋外にいる時間を増やすことで近視を抑制する必要がある」と発信しているのが眼科医の窪田良氏だ。

『近視は病気です』(東洋経済新報社)の著者でもある窪田氏と、国内シェアNo.1の登山GPSアプリの提供をはじめとする登山やアウトドア事業を展開する株式会社ヤマップ代表取締役社長の春山慶彦氏が、「子どもの近視」と自然体験で培われる身体づくりをテーマに6回シリーズで対談する。

最終回の今回は、子どもが山をはじめとする自然体験を経験する意義、親しむアイデアについて2人が語り合う。

山が苦手になるのは子どものせいではない

窪田:ここまで5回にわたり、登山をはじめとする自然体験が、目だけでなく子どもの健康と発達においていかに良い影響を与えるかというお話をしてきました。

ちなみに、近視抑制のためには1日2時間屋外で太陽光を浴びるのが効果的なのですが、週末まとめて屋外時間を確保することでも補填できます。

そういう意味で、週末親子で山に行くことは、眼科医の私から見てもとても素晴らしいことだと思っています。

春山:そうおっしゃっていただけると心強いです。「ヤマップ」のアプリユーザーの皆さんの中にも、お子さんと一緒に登山を楽しんでいる方はたくさんいます。

窪田:一方で、最初の山登り体験が学校の遠足だったという人の中には、登山に対して必ずしもポジティブな印象を持っていない人もいるようです。学校の遠足のように集団行動での山登りの体験をポジティブにするアイデアなどありますか。

春山:集団で山に入ったときは、自分のペースで登ることが難しいですよね。先生に合わせる、周りの友だちに合わせるという状態だと、「山と向き合えていない」ことになります。

窪田:確かに周りのペースに合わせようと意識しすぎると、景色を見る余裕もなくなってしまいますね。

最初は少人数からの登山がよい

春山:そうなんです。山と向き合うことよりも、その他大勢の他者の目線を気にすることに忙しくなります。本当の意味で山とともに過ごせていない状態に陥ってしまう。本来なら登山を通じて、山の素晴らしさを感じ取ったり、自分の命が自然の中でどのように存在しているのかを考えたりできるのですが、その体験がすっぽり抜け落ちてしまうのでしょう。

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