「自然の中での体験」が未来の子どもを救う? 目の健康の観点以外からもオススメする理由
東洋経済オンライン / 2024年12月12日 10時0分
窪田:なるほど。とにかく周りから後れをとらずに山頂に到着することが目的になってしまうわけですね。
春山:ですので、可能ならできるだけ少人数で、例えば子ども15~20人に対し大人2~3人が付き添う感じで山歩きできれば理想ですね。
登山のために班を作るのなら、できるだけ少人数にすることが重要です。そして、一緒に登る大人や周りの子たちの目を気にすることなく、どう「山と向き合うか」という視点を持たせたうえで連れていく。大人がこの2点を意識するだけで、登山は子どもにとってかけがえのない豊かな体験に変えられると思います。
窪田:学校の先生方にもぜひ参考にしていただきたいですね。ところで、今の子どもたちは昔の子どもたちに比べて身体を動かす機会が減っています。いきなり登山に連れていって、大丈夫でしょうか。
春山:子どもの身体能力や順応能力は高いので、その点に関してはあまり心配していません。それよりも、山好きな親が子どもを山に連れていくと、山を嫌いになるケースがままあることのほうが気になっています。
親が子どもにできること、手渡せる唯一のこと
窪田:親が山が好きなのに子どもが好きにならないケースがあるとは意外です。
春山:理由は、子どもの意思よりも親の意思が優先されているからだと思います。子どもの側に「親に行かされているから」という感覚が生まれてしまう。いやいや行かされるくらいなら、明確に「好き」「嫌い」と感じられる体験があったほうがまだいいでしょう。
窪田:山に行ったことがなければ、登山が好きか嫌いかもわかりませんね。
春山:おっしゃるとおりです。学校の遠足で山に行かされた、親に山に連れて行かれたでいい。最初は能動的でなくても、「山と向き合う体験」を通じて自分で何かを感じ取ってほしいですね。それが「好き」でも「嫌い」でもいい。山には都会とは違う時間軸が流れていることを知ってほしい。
そして、大人になったときに、もう一度「山に行ってみよう」と思える選択肢として自分の中に持てることが大事だと思います。
窪田:一度は行かないと、選択肢として持てないですよね。
春山:例えば、頂上に到着したときの爽快感でもいいし、キャンプをしながら眺めた星が綺麗だったという記憶でもいい。その記憶が10年、20年経って何かの拍子によみがえり、自然の中でまた過ごしてみたいと思える選択肢になる。その選択肢があるということが重要だと感じています。
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