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「居酒屋で隣に座る」くらいの距離が重要な訳 若者にも広がる「誰かとつながりたい」感覚

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 8時10分

抑圧的でなく、閉鎖的でもない都市型の共同体は、緩やかに人々がつながるものとなると、ジャーナリストの佐々木俊尚さんは言います(写真:Fast&Slow/PIXTA)

友だちの数、生産性の高いチームのメンバー数、縦割り化する会社の社員数……。これらの人数は、進化心理学者のロビン・ダンバーが発見した「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」に支配されている。古来人類は、「家族」や「部族(トライブ)」を形作って暮らしてきたからだ。
メンバー同士が絆を深め、信頼し合い、帰属意識をもって協力し合う、創造的で生産性の高い組織を築くためには、このような人間の本能や行動様式にかんする科学的な知識が不可欠である。日本語版が2024年10月に刊行された『「組織と人数」の絶対法則』について、ジャーナリストの佐々木俊尚氏に話を聞いた。前編に引き続いてお届けする。

交流がイノベーションを生む

コロナ禍で、多くの会社がフルリモートにしましたが、1~2年やってみて、ほとんどの会社が「これは厳しすぎる」と認識しました。

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オンラインの会議だけでは、隣の人に「ちょっと教えて」と聞くことができません。やはり雑談はとても大事だとわかったわけです。結果的に、完全フルリモートはかなり少なくなりました。

本書にも、雑談がイノベーションを生むということが書かれています。

スティーブ・ジョブズがiPhoneを生み出したように、イノベーションは、1人の天才の発想によるものと思われがちですが、実際にはそんなケースはほとんどありません。

シリコンバレーが典型です。何もない場所に、ヒューレットパッカードが工場を作り、人が集まった。そして、技術者と営業マンが出会って、一緒になにかやろうということも生まれました。

デトロイトもそうです。フォードが自動車工場を作った当時、自動車は、今の生成AIのような新しい技術で、興味を持った人たちが全米から集まりました。

人と人が集まり、交わることは、新しいビジネスのアイデアを生むためにとても大事なのです。

最近のコワーキングスペースも、その点を狙って作られています。単に個人が作業する場所としてだけではなく、カフェを併設していますから、誰かと誰かが出会って、何かが生まれるということが起きるのです。

コロナ禍では「ソーシャルディスタンス」という言葉をよく聞きました。もとは、社会学者のエドワード・ホールが『かくれた次元』で使った、対人関係における4つの距離から来ています。

  • 演説する人が見えるぐらいの「公共距離」
  • 2mのソーシャルディスタンスと言われた「社会距離」
  • 居酒屋で隣に座っているぐらいの「個体距離」
  • 家族とか恋人など肌が密着する「密接距離」

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