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脱毛「アリシアクリニック」破産前から危険サイン 脱毛サロンの倒産が繰り返される背景事情

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 17時30分

アリシアクリニックの店舗(写真:東京商工リサーチ、12月10日撮影)

またか――。脱毛サロン「アリシアクリニック」が破産したとの一報を受けてつぶやいた。アリシアクリニック運営の医療法人社団美実会と、関連会社で脱毛サロン「じぶんクリニック」を運営していた一般社団法人八桜会が12月10日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

【画像を見る】「アリシアクリニック」の破産を知らせる内容。前払いした施術代が返金されるかどうかのQ&Aも書かれている

2社の負債総額は合計124億円に達し、債権者(被害者)は9万人を超える。債権者の大半は、一括前払いやクレジットなどで長期の施術契約を結んだ個人客だ。

東京商工リサーチ(TSR)の調査では、脱毛サロンなどエステティック業の倒産は、2024年1~11月で99件に達した。すでに2023年1年間の88件を上回り、過去最多を更新中だ。脱毛サロン業界で何が起きているのか、調査会社の視点で検証したい。

「銀座カラー」が破産開始となった一年前から予兆

脱毛サロンをめぐっては、1年前の12月15日に「銀座カラー」を運営していたエム・シーネットワークスジャパン(以下、エム社)が東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は約58億円で、被害者は約10万人にのぼった。

この時、一部の与信担当者は、アリシアクリニックとじぶんクリニックの与信を見直すなど、「ガード」を引き上げた。この2つのクリニックと銀座カラーには、さまざまな情報からつながりが確認されたためだ。

TSRが発行する情報誌「TSR情報・全国版」の2023年12月27日号には、銀座カラーの関係先として4社を実名で掲載している。そのうちの2社が、アリシアクリニックとじぶんクリニックだった。

当時の記事は、「(じぶんクリニックは)エム社の創業者が昨年12月まで代表理事を務めていた。以降は別の人物が代表理事を務めている」と記載。

さらに「(アリシアクリニックと)じぶんクリニックの代表理事は同一。エム社の破産申立書の資産目録には、『詳細不明であるが、医療法人美実会を基金拠出型で設立し、その拠出金であると思われる。返還可能性は不明』との注釈が記載された4400万円の拠出金がある」としていた。

情報誌は与信のプロが読者で、読み手は行間を読むスキルに長けている。与信限度額の設定や取引先との契約見直しなど、実務担当者の「読み解き力」を信じ、実名での記事化に踏み切った。

「前受金ビジネス」と日常生活での違和感

個人客を巻き込む大規模な倒産が発生すると、「調査会社は蓄積したデータを使って事前に警鐘を鳴らさないのか」、「後出しで『知っていました』は卑怯だ」といった意見がSNSなどで寄せられる。しかし、無制限な信用情報の発信は、取引相手の離反や事業価値の毀損につながり、事業再生の芽を摘みかねない。

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