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バイデン「日鉄のUSスチール買収阻止」その後は? 最終的に判断を下すのはどこになるのか

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 16時0分

ペンシルベニア州にあるUSスチールの製鉄所(写真:Justin Merriman/Bloomberg)

12月11日付のブルームバーグが引用した匿名の情報筋によると、アメリカのジョー・バイデン大統領は、12月22日ごろの対米外国投資委員会(CFIUS)による審理の結果を受けて、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止する意向だという。

また、イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』紙によると、省庁間の会議で、国務省、国防総省、財務省の専門職員は、重大な安全保障上の問題はないと主張したが、他の職員は問題があると訴えた。とはいえ、CFIUSの実際の政治的任命権者である内閣官房長官は通常、大統領の意向に沿った結論を出す。

トランプ次期大統領の手に委ねられる

仮にバイデン大統領が買収を認めない場合、日鉄とUSスチールは「このプロセスをめぐって訴訟を起こす構えだ」とブルームバーグは書いている。そうなれば、この問題はドナルド・トランプ次期大統領がホワイトハウスに復帰するまで決着がつかないだろう。

その場合、すでに合併プロセスが始まっていれば、トランプ氏は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づく大統領権限を使って、合併を阻止したり、解消したりすることができる。

つい数日前、トランプ氏はこうした買収を禁止すると繰り返し語り、財政的にも技術的にも苦境に立たされているUSスチールを 「再び強くする」ために関税と税制優遇措置に頼るとしている。ブルームバーグの報道が正しい場合、買収が成功する道筋は見えにくい。

ペンシルベニア州西部にあるUSスチールの有名なモンバレー製鉄所で実際に働いている労働組合員らは、これが彼らの雇用を守る最善のチャンスだと考え、日鉄のUSスチール買収を支持している。

民主党のジョシュ・シャピロ・ペンシルベニア州知事も同様だ。USスチールは、買収に失敗すれば規模縮小を余儀なくされるとしている。対照的に、日鉄はモンバレー製鉄所を含むいくつかの製鉄所の改良に13億ドル以上の追加投資を行うと約束している。

バイデン氏が日鉄買収阻止に動く背景

自動車生産には高炉は欠かせないものであり、高炉の維持とアップグレードは、日鉄の買収を阻止することよりも、アメリカの安全保障にとって重要である。それにもかかわらず、バイデンはUSW(全米鉄鋼労組)のデビッド・マッコール会長の味方をしている。

マッコール会長は最近、日鉄の森高弘副会長と会談した後も、合併に断固反対している。現在も働いているUSW組合員と退職者を合わせた120万人のうち、USスチールで働いているのはわずか1万1000人にすぎない。

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