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ドコモ通信網、進化する「24時間監視」の最前線 AI予兆検知で故障防ぐ、能登の教訓を活かす

東洋経済オンライン / 2024年12月13日 7時30分

さらにドコモは、人手を介さない完全自動化の取り組みも進めている。基地局などの無線アクセスネットワーク(RAN)については、すでに故障時の復旧作業を自動で行える体制が整った。例えば、法人向けのエッジコンピューティングサービスでは、以前は夜間のソフトウェアアップデートに作業員を張り付けていたが、現在は作業日時を予約するだけで、更新作業から正常性確認まですべて自動で実行される。

「次はコアネットワーク(通信を制御する中核システム)の自動化に取り組みます。複数の装置から同時にアラートが上がるような複雑な障害にも対応できるよう、エンドツーエンドのデータを活用した自動化を目指しています。2025年前半までに故障時の復旧時間を60%短縮することを目標としています」と鈴木担当部長は説明する。

重層的な災害への備え

通信インフラの強靭化は、平時からの備えも重要だ。ドコモが全国105カ所に配備する大ゾーン基地局は、その代表例だ。通常は電波を停止しているこの基地局は、災害時に半径7キロ圏内をカバーできる広域基地局として機能する。また、山の上や高層ビルの屋上には2000局以上の中ゾーン基地局を設置。普段は一定の角度のみをカバーしているが、災害時には遠隔でアンテナの角度を変更し、より広いエリアをカバーできる。

東京・大阪の2拠点体制も、災害時の重要なバックアップとなる。普段は東日本と西日本で分担しているが、一方の拠点に負荷が集中した場合は即座に業務を移管できる。さらに近年は、テレワークによる在宅監視も可能な体制を整備。コロナ禍での経験を生かし、有事の際の対応力を高めている。

能登半島地震が突きつけた課題

そんな最新鋭の監視体制は、2024年初めの能登半島地震で、想定を超える事態に直面することになった。

1月1日に発生した地震の影響は甚大だった。地震発生から3日後、停電の長期化による基地局バッテリーの枯渇も重なり、影響を受けた基地局は最大で260局に達した。平時を100とした場合のサービスエリアは30%程度まで低下した。

「被害の主因は停電と伝送路断でした」と、サービスオペレーション部災害対策室長の竹内宏司氏は振り返る。全体の38%が停電、35%が光ファイバーなどの通信回線(伝送路)の断絶、26%が両方の影響を受けた。基地局設備自体は長年の強靭化対策が功を奏し、物理的な被災は数%にとどまった。しかし、電力と通信回線の寸断に対する脆弱性が浮き彫りになった形だ。

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